新政権発足~家計への影響を考えて、これから意識したい3つのこと

「安倍政権から菅政権へ」

さて、いよいよ菅内閣が発足しましたね。これまで7年以上に渡る長期政権となった安倍首相の政策をおおむね踏襲するという事で、安定した政権と捉えられている様です。
それでも、デジタル化推進のための「デジタル庁」設置の計画、少子化対策では「不妊治療の保険適用」、そして河野行革担当大臣が「縦割り110番」を設置するなど、独自の具体的な政策なども出てきていますね。
首相自身も秋田の農家出身であったり、派閥に属さなかったり、あとは「令和おじさん」として親しまれているなど、人柄が信頼できるという事で、支持率も高くスタートを切りました。

アベノミクスでは戦後最長に迫る景気拡大が続いたと言われていますが、一般市民にとっては実感しにくかったところです。
確かに、安倍政権の7年余りの間に、株式市場は日経平均の在任中の上昇率が2.3倍、失業率は政権発足時4%前後だったものが、19年末は2.2%と大幅低下するなど、景気拡大は様々な指標に表れています。
一方で、金融緩和や法人税減税で、企業が内部留保で資金をため込みながらも、従業員の給与などへはあまり回されていません。また、今年は新型コロナの影響で状況が変わりましたが、昨年までは訪日外国人の消費がGDPを押し上げた一面もありました。
こうした点が、一般市民が景気拡大を実感できていない理由といえるでしょう。

新型コロナの問題が発生し、経済も社会も大きな混乱が生じました。その混乱のさなかの政権交代。まさに変化のスピードが加速しています。そうした中、私たちもこれまでと同じ行動では、変わっていく経済・社会に取り残されてしまいます。私たちはこの流れに取り残されないために、特に家計に影響する面ではどのような事を意識していけばよいのでしょうか?それはさほど難しいことではないように思います。今回は3つのポイントにまとめてお話ししたいと思います。

 

「1.個人でも市場に参加する」

安倍政権の7年間では大企業などは利益を上げたが、一般市民にはその恩恵に預かれていないという指摘があります。
確かに先に記載した通り、株価は大きく上昇し、また世界全体でも、先進国を中心に株式市場はコロナ前までは数年間安定して上昇を続けてきました。
私たちもその恩恵を受けるためには、経済の動きを指をくわえてみているだけではなく、自ら市場に参加するという考え方が必要になります。それは株式や投資信託を購入したりするなど、経済の動きに反応する資産を持つという事です。
資産を持つなんて、そんな余裕ウチにはない、と考える方も多いでしょう。
また、普段の生活で目いっぱいで、そんな事を考える時間もやる時間もないと思っている方も多いと思います。

しかし、皆さんが考えているより、投資や運用は身近なものです。
もちろん一般企業の株を購入しようとすれば、一般的に数十万円程度の投資額が必要です。一方で、積み立て投資を利用すれば、月に数千円からでも、日本や先進国のファンド(投資信託)を購入して運用するという方法が可能です。
長期間分散・積立といった手法さえしっかり守れば、少なくとも銀行預金に預けているより高い運用成果が得られると思います。
新たにそのような運用を始めるには、証券会社に口座を開いたり購入する商品を選択したりするなど、確かに手間は生じます。
しかし現在は、平日の日中に銀行や証券会社に行く必要もありません。
パソコンかスマホと、わずかな時間があれば、簡単に口座開設ができます。
面倒だと言われればそれまでですが、最初その手間をかけるかかけないかが、将来の資産に大きな差を生むことになるのです。

 

「2.新しい制度を活用する」

昨年の消費税増税時より、キャッシュレス決済を利用するとポイントが還元される事業が行われていました。今年に入ってからはマイナポイントの制度がスタートしています。
さらには新型コロナの問題が出てからは、助成金の制度や定額給付金など、様々な施策が実施されていて、特に売り上げに影響が出ている経営者や生活に困窮している人を救済する制度が出ています。また、GOTOキャンペーンでは、旅行や飲食などが政府の助成金で割安に利用することが可能になっています。

これほどまでに、一般市民の財布に影響を与える制度が次から次へと導入されたことは、あまり記憶にありません。
こうした制度は、マイナンバーに登録する、助成金を申請する、など、しかるべき手続きをして初めて受け取れるものです。
(GOTOキャンペーンは、参加業者がすでに助成後の料金を提示していることが多く、その場合申請等の手続きは不要です)
黙っていても受け取ることはできません。ちなみにそれはコロナの制度に限らず、たとえば高齢者が受け取る老齢年金などもそうです。いつの間にか口座に入金されるものではありません。

こうした制度を活用することで、例えばマイナポイントでは4人家族で最大2万ポイント(2万円相当)の還元を受けられます。
また、コロナ対応の助成制度を知っていれば、生活に困窮して大学を退学したり、住宅ローンを滞納して住む家を失う、といったことも防げるかもしれません(住宅ローンでは、元から無理なローンを組んでいるという事例も多いようですが・・)
私たちはより豊かな生活をするために、あるいは困窮した状態から抜け出すために、それら制度の存在をまず知ること、そしてそのメリットを受けるために、ひと手間かけてでも手続きをする、あるいはしかるべき専門家や行政の窓口に相談するなど、自ら動いていくという姿勢が必要になってくると思います。

 

「3.デジタル化に対応する」

菅内閣の政策の目玉の一つにデジタル庁の設置計画があります。
政府も今回の新型コロナの給付金支給手続きで、日本のデジタル環境の遅れを痛いほど認識しました。これからはキャッシュレス決済をはじめ、デジタル技術を活用したサービスの普及が、一気に加速していくでしょう。
もちろん、最近になって不正使用なども問題が出てきているので、金融機関やキャッシュレス業者には、セキュリティ体制などをしっかり対策してもらわないといけません。しかし、今回の様なトラブルは、普及の過程ではゼロにすることはできません。こうしたトラブルを繰り返していきながら、よりセキュリティの強い強固なシステムが完成していくと思います。

キャッシュレスは不安だから利用しないという選択肢を取る事も可能です。しかし、それでも間違いなく制度は普及に向けて進んでいきます。それが確実なのであれば、口座残高に気を付ける、パスワードや暗証番号の管理に気を付けるなど、注意すべきことに注意しながら、制度に参加していく事が、今後の変化にも柔軟に対応していけるのではないかと思います。

 

「受け身ではなく自ら動いていく姿勢で」

このように、コロナ禍の新政権誕生で、今後の経済の流れ、社会の変化は、さらに加速していくことでしょう。おそらく、本来は5年、10年とかけて変化していくことが、今回一気に動き始めてきたというイメージでしょうか。
もちろん、こうした変化が順調に進んでいく事はありません。経済指標であれば、暴落した株式相場は政府の市場への資金供給などで想定外の速さで回復していますが、やや過熱感もあり、今後大きな変動があるかも知れません。また、キャッシュレス決済の不正使用の問題もあります。なによりも、新型コロナがいつ鎮静化するかもまだ見通せていません。

しかしそれでも私たちの経済活動、社会活動は止まらないどことか、より大きく変化していきます。
各自でそうした変化の流れに乗り、常に新しい情報にアンテナを張り、得られる権利のあるメリットは獲得するということは、意識を少し変えればできることで、難しいことではないと思います。
「個人でも市場に参加する」「新しい制度を活用する」「デジタル化に対応する」
これからは、こうした受け身ではなく、自ら動いていく姿勢や心掛けが、家計にも影響を与えていきます。
その小さな積み重ねの結果が、将来にわたる資産形成のスピードに影響してくるのではないかと思います。

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