株式投資がより身近になっています・・・株式投資のメリットと注意点

株式投資と言うと、どのようなイメージをお持ちですか?
面白そう、難しそう、損しそう、ギャンブル!?
いろいろなイメージをお持ちの方がいらっしゃると思います。

最近は積立投資・長期分散などと言われ、資産運用は難しいものではない、という理解が広まりつつあります。
しかしこの株式投資については、まだハードルが高いと考えている方も多いようです。

確かに、それなりに資金も必要だし、値上がりする銘柄を探すのも難しそうです。
何か異変があると、株価が大きく値下がりして損をしてしまうからコワいですよね。

この株式投資、最近は様子が変わって身近なものになってきています。
初心者の方でも、気軽にスタートできる仕組みが整備されています

そして、株式投資をするメリットは、株式の値上り益を得ることだけではありません。
今回は、株式投資の最近のスタイルや、株式投資をするメリットと始める上での注意点について、具体例を交えながら、確認していきたいと思います。

 

株式投資はハードルが下がって身近なものに

日本証券業協会の調査「個人株主の動向について(2022年)」によると、個人株主数は2017年まで減少を続け1319万人となりましたが、その後増加に転じ、2021年には1457万人となっています。

また、最近はすべての世代で増加傾向にあるものの、20代・30代の個人株主数は過去5年間で倍近くになっており、特に若い世代の個人株主が増える傾向にあるとのことです。

その要因には、株式取引のハードルが下がってきていることが挙げられます。

日本の上場株式は、通常は最低100株単位で取引されています。
この場合、例えばトヨタ自動車株であれば、株価は1813円なので、約18万円から取引可能となります。
また、ユニクロで有名なファーストリテイリングに至っては32550円なので、約325万円も必要になります。
これでは、一般の人はなかなか手を出すことができませんね。

そこで最近では、銘柄は限定されますが、証券会社によっては1株単位で取引できる株式も増えてきています。
1株単位であれば、トヨタは1813円、ファーストリテイリングも32550円から取引可能です。
これならば、株式投資を少額から始めようという方も、抵抗なくスタートできるのではないかと思います。
今後、こうした単元未満の取引が広がり、利用しやすくなっていくと思います。

またその流れを受け、一部の携帯電話会社やキャッシュレス決済業者では、決済で貯まるポイントで株式投資をすることもできるようになりました。
投資信託による積立投資もそうですが、株式投資も、初期費用を掛けずに体験をすることが可能です。

一方で、株式を発行する会社側も、より多くの方に投資してもらうために、最低購入金額を下げる動きが出ています。
これは「株式分割」と言われるもので、例えば、さきほどのトヨタ自動車も、2021年に1株を5株に分割しました。
それにより、それまで9000円台だった株価が2000円以下となり、より少ない金額からの投資が可能になりました。

このように、それまでは1社の株式を購入するのに数十万円単位の資金が必要でしたが、最近は数千円から購入できたり、ポイントで購入できたりする銘柄も増えてきています。
企業及び証券会社の努力により、株式投資のすそ野が広がってきています。

と言うわけで、最近広まりつつある株式投資。
改めて、一体どのようなメリットがあり、どの様な事に注意する必要があるのでしょうか。

 

株式投資で利益を得る仕組み:値上がり益「キャピタルゲイン」

株式と言うと、株価が上昇し、値上がり益を得るために投資するというイメージが強いでしょう。
このように、株価が値上がりしたことにより得られる利益を「キャピタルゲイン」と言います。

この「キャピタルゲイン」を得るには、株価が安い時に購入し、高い時に売却する必要があります。
一見当然の事なのですが、この点が非常に難しいわけです。

例えば、ある会社の業績が好調で、株価が上昇を続けているとしましょう。
そうすると、多くの人はその株式を購入するので、更に株価は上昇することになります。
しかし一方で、株価が上昇すれば値上がり益を確保するために売却する人も増えます。
そうすると、一定の時点からその株価は下落をしていくことになります。

株価変動の要因は様々ですが、企業の業績だけでなく、取引する人間心理の影響も受けるので、日々の株価の変動を予想するのは非常に難しいのです。

そもそも株式は、1日に何回も取引をするデイトレーダーでもない限り、頻繁に取引するものでもありません。
少なくとも私達一般の投資家は、財務体質が健全であり、今後の成長も見込め、かつ好感の持てる企業を、今後数年間応援するつもりで株式を保有するという考え方が良いと思います。

中には、10倍になる株を見つける!数年で億り人(株式投資で資産1億円を達すること)になる!などと宣伝し、高額な会費や受講料を取る株式セミナーやコミュニティも多いです。
しかしそのような場では、一定のテクニックは学べたとしても、最終的に大きな成果を得られる人はごくわずかです。

株式を購入する事は、その企業の成長に投資するという事になります。
小手先のテクニックではなく、数年後に企業の成長の成果を受け取る、という考え方で取り組むのがよいでしょう。

そのためには、やはりある程度社会や経済に関心を持ち、投資する企業の企業研究もある程度必要になります
株式投資は、そうした点が確かに難しい面でもあります。

しかし、デイトレードで利益を上げ続けるほど、難しい事ではないし、時間や労力のかかるものでもありません。
日頃の経済・社会情勢を確認することは勉強にもなりますし、それが自分の資産増加につながると考えれば、興味深く取り組むことができるのではないかと思います。

 

株式投資で利益を得る仕組み:配当金「インカムゲイン」

そして、株式投資で得られる利益にはもう一つ「配当」があります。
配当で得られる利益の事を、「インカムゲイン」と言います。

配当は、企業が得た利益の一部を株主に還元するものです。
決算時期に配当額を予想し、正式な金額を株主総会で決定します。
そして、企業によりますが年1~2回、決算時期(中間決算・期末決算)の3か月後頃に支払われます。

2023年3月の決算は多くの企業がまだ発表前ですが、2022年4-9月期では、3月期決算企業2350社中、配当の上方修正が249社・下方修正は46社と、配当を上方修正する企業が多くなりました。
企業はこれまで抱えていた内部留保を、従業員の賃金や株主への配当で還元する流れが進んでいる様です

配当は、会社によって支払われる割合も様々で、支払わないという企業も多くあります。
配当がどの程度受け取れるか確認するのに「配当利回り」という指標があります。

「配当利回り」は、株価に対する配当の割合です。
例えば、株価1000円の企業が年間10円の配当金を出す場合、配当利回りは1%となります。
この株式を配当の権利確定時に100株保有している場合、年間1000円(税引後約800円)の配当を受け取れるわけです。

では配当金はどの程度受け取れるものなのか、実際の企業で確認をしてみましょう。
金融機関・商社などは比較的配当利回りの高い銘柄が多いです。
例えば、メガバンクの三井住友FGは、株価5728円に対して、1株当たり230円なので、配当利回りは約4%となります。この株式を100株約57万円で購入し決算時まで保有すると、年間23000円の配当(税引き後約18300円)が受け取れることになります。
リスクの度合いが全く違うので単純比較はできませんが、株価が一定ならば、銀行に預金するよりも、株を買って配当を受け取る方が、はるかに高い利回りを得られることになりますね。

配当を出す企業の配当利回りは1~3%程度という所が多いでしょうか。
この配当、株式を保有しているだけで定期的な収入になります

株価も配当も企業の業績によって変動するので一概には言えませんが、例えば配当利回り3%の株式を100万円購入し10年間保有し続けた場合、10年間で合計30万円(税引き後約24万円)の配当を受け取ることができます。長期で保有し続けるほど、初期の投資額に対する利回りが良くなる計算になります。
また、最近は配当の増額を続けている企業も多く、その様な会社の株式であれば更に利回りは良くなります。

また、仮にこの会社の株式を1億円分保有していた場合、配当収入だけで年間300万円(税引き後約239万円)となり、年間の生活費に近いレベルとなります。

1億円は極端ですが、仮に1000万円株式投資をして、そこから年間約24万円の配当収入を確保するプランを立てれば、特に高齢者などは、年金だけでは不足する生活費を補う事も可能になります。

もちろん、これは計算上の話で、1社の株式のみ保有し続けるのはリスクもあるので現実的ではありません。
しかし、配当利回りの高い株式を中心に数社保有して、インカムゲインを家計収入の一部に組み入れるライフプランは、年金の不安が広まる中、将来の安心にもつながるので、これから広まっていくと思います。

このように、配当金は長期間安定的に確保できる収入源と捉えることもできるわけです

 

株主優待をチェックして、楽しみながら株式投資

また、株主優待を受け取ることを目的に、楽しみながら株式投資をしている方も多いです。
大和総研の調査によると、2022年9月現在、上場企業の約4割が株主優待を設定しています。

株主優待は、投資信託を設定する機関投資家や外国人投資家は受け取る権利が無いため、公平な利益還元ではないとして、廃止するという企業も出ています。
しかし一方で、個人投資家のつなぎ止めという意味で効果は大きく、実施を継続する企業も多いです。

例えば、イオンの株主優待は、100株保有で、半年間で100万円までの買い物額の3%相当が還元される優待カードが受け取れます。
株価は2720円なので、約27万円の投資で、仮に食料品など月5万円買い物をしたとすると、年間1.8万円の還元が受けられることになります。これだけで6%以上の利回りです。

また、京浜急行の株主優待は、100株保有で全線乗車券2枚とグループ会社の割引クーポン冊子が受け取れます。このクーポン冊子は、スーパーやデパートの割引券・駐車場1時間無料券等のほか、葉山の観光クルーザーペア乗船券まで含まれており、お得感も高いです。こちらの株価は1313円なので、投資額は約13万円です。

この様に、身近でよく利用する店舗や施設の優待を受けることで、家計にもメリットが生まれます

また、アサヒビールでは、株主限定の特製ビールや、自社商品詰め合わせなどが贈られてきます。
こちらは利回りというよりも、株主限定のビールが飲めること、好きな企業の商品を試飲できるということで人気があります。

この他にも、クオカードやカタログギフトなど、株主優待は企業によって様々です。

この様な形で、企業側は魅力的な優待を設定することで、その会社に投資する動機づけとなります。
こうした優待は、証券会社のサイトで一覧になっているので、見てみると楽しいものです。

難しそうな株式投資ですが、株主優待をチェックすることから始めると、自然と興味が沸いてくるかも知れません。

 

短期の値上がり益を狙うのではなく、長期分散で

株式投資についても、最近よくお話しする「長期分散投資」をお勧めしています。
株式は、その企業が倒産する事で、株式の価値がゼロになる可能性もあるほど、リスクの高い投資です。

例えば、2010年には日本航空の破綻により、株式の上場が廃止されました。
また、東日本大震災による原発事故で、2000円台だった東京電力の株式は、1年で100円台まで下落しました。
このように、私達がよく聞くような大企業でも、業績や社会情勢によって、株価は大きく変動することがあります。

そのため、1つの会社に多額の投資をするのではなく、可能であれば業界も分散すると安心です。
目安として少なくとも最低5社、可能であれば10社以上を目安に分散して投資することをお勧めします

その様な意味でも、単元未満で株が購入出来たり、株式分割で最低購入額が下がったりしている今の流れは、より幅広い分散をしやすくなり、分散投資をする上でもメリットになります。

そして、あくまでライフプランでの必要資金を別途確保した上で、余裕資金の範囲内で投資をする事が大切です。
この点については、以前記載のブログもご参照ください。

株式投資と言うと、毎日のようにパソコンとにらめっこして売買を繰り返すというイメージをする方がいます。
しかしこの様な方法は、一部の専門家でない限りお勧めできません。
これは、「投資」ではなく「投機」と言います。

今回お勧めしたいスタイルは、短期的な値上がり益の確保を目指す「投機」ではなく、長期的に企業の成長の恩恵を受ける「投資」のスタイルです

最初は自分の良く知っている、身近な企業の株価からチェックするのが良いと思います
自分の応援したい、好感の持てる企業であれば、自然とその企業について知りたくなるものです。

興味を持った企業を調べ、長期的に成長することが見込まれれば、無理のない金額の範囲で購入し長期間保有し続ける、その様な姿勢でスタートするのが良いでしょう。

当オフィスでは、株式投資を始めたいという方のご相談も多くいただきます。
その様な方には、短期的な値上がり益を目指すテクニックではなく、長期的にコツコツと続ける株式投資の手法をお伝えしています。

この銘柄は値上がりするとか、今が買い時・売り時だといった具体的なアドバイスはできませんが、株式で運用する銘柄を選ぶ際に、最低限知っておきたいポイントや考え方をアドバイスしています。
もちろん、口座の開設のしかた、取引時間、売買のルールなど、初心者向けに基本的な事をお伝えすることも可能です。

これを機に株式投資もスタートしてみたいという方は、どうぞお気軽にご相談下さい。

 

※この記事では、個別銘柄についても紹介していますが、あくまで株式投資は自己責任で実施してください。
※記載の株価は特別に記載のない限り2023年4月20日終値を記載しています。
※記載の配当金額は2023年3月期決算の予想値、株主優待は2022年度の内容です。

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