2023年の資産運用はどうしたら良い??変化の早い今こそ、長期的な目線で考える

2023年はどうなる!?
専門家や経営者からは様々なコメントが・・・

2023年もスタートして1週間が経過。
TVや新聞でも、今年はどうなる?といった各方面の予測が取り上げられていますね。
専門家が一堂に会して意見交換したり、経済団体の会合で各社の社長にインタビューしたり..

今年の予測を聞くのは勉強にもなりますし、それぞれの業界の捉え方も理解できるので、非常に興味深いです。

例えば、証券会社のトップは、「今年は兎年で相場が跳ねる。相場環境は良くなる」と話す一方で、
経済アナリストは「米国の景気減速が進み今年は厳しい年になる」などと話しています。
一方で、経団連の社長インタビューなどでは「今年は賃上げ○%!」と、景気の良い話も聞こえます。

まあ、証券会社は口座数を増やしたいし、大企業の社長は国の方針に沿ったコメントになるでしょう。
それぞれどんな立場の人から発せられているコメントか確認しないと、頭が混乱してしまいます。

因みに、卯年の相場は跳ねるという格言、念のため調べてみました。
すると、株価が上昇する確率が高いと言うよりも、上がった年は急上昇するという事の様です。
例えば、第二次大戦発生時の1939年・朝鮮戦争後の1951年・バブル崩壊後の1999年などなど。
どれも大変な時期だったようですが、新年の景気づけには縁起が良い格言ですね。

 

予想のはるか上を行く変化のスピードと、
何が起きるかわからない時代

なお最近は、世の中の動くスピードの速さも意識しておきたいところです。

先日とある雑誌の新年号を読んでいました。
そこにも今年の予想が出ていたのですが、おそらく取材が昨年の11~12月頃だったのでしょう。
「円高基調でドル円は120円台も視野に・・」とか、「中国のゼロコロナ政策は転換し・・・」などと書かれていました。

為替は一時的とはいえ新年に既に120円台に届いています。
また、中国のゼロコロナ政策は既に破綻し、中国では感染者がピークを迎えています。
もっとも、もう少しすれば感染は収まるのかも知れませんが…
昨年末立てた今年の予想が既に1月上旬で達成してしまう様に、世の中の変化スピードは想像以上に早いようです。

思えば、2020年は3月頃から新型コロナの大流行が始まりました。
今でこそWithコロナの生活に慣れましたが、当時はコロナショックと言われた株式の大暴落も起きました。

また昨年は、コロナも沈静化して明るい未来が見えるのかと思いきや、ウクライナ戦争が発生。
世界平和が脅かされる世の中となり、その状況は今も続いています。

さかのぼれば、NY同時多発テロも、リーマンショックも、東日本大震災も、
年初に予測した人は誰もいませんでした。

こうした出来事が2000年代に入ってから何回も起きています。
世界経済を揺るがす事態は、想定外ではなく、いつでも起こりうる事と考えた方が良さそうです

そういうわけで、新年に各方面から聞こえてくる今年の予想。
これらはあくまで「既定路線」として押さえておくと良いでしょう。

一方で変化のスピードが速い時代、そして何が起こるかわからない時代。
どんな出来事にも対応できるよう、心の準備だけでなく、資産運用の上でも準備をしておくことがありそうです。

 

ではどう考えたらよい?
既定路線を踏まえ、長期的目線で再確認

まず、今年に関しての「既定路線」。

例えば、日本国内では、昨年末からの兆候でゼロ金利政策の終わりが見えてきました。
今年は日銀の黒田総裁の交代も予定されており、その流れが明確になりそうです。
だからと言って過剰な債務を抱える日本では、米国の様なペースの利上げができる環境ではありません。
1%にも届かない程度の緩やかな金利上昇の流れが進む感じでしょうか。

一方で世界を見ると、米国の利上げの影響で、米国の景気減速は今年前半~今年中は続きそうです。
欧州もウクライナ戦争の影響を引きずり、まだ低迷が続きそうです。
中国はコロナの影響次第で不透明ですが、成長は減速するのは間違いないでしょう。
一方で今年中国の人口を抜く見込みのインド、それに東南アジア諸国などの新興国の成長が目立つと考えます。

この辺りは、当面の「既定路線」として、おおむね多くの方の意見も一致するところかと思います。

しかし、資産運用において大切なのは、こうした既定路線を踏まえた、より長期的な目線です。

例えば、日本がの抱える少子化の問題について。

日本は出生数が80万人を割りました。
これは団塊世代である現在の70代前半の方と比較すると3分の1程度と恐ろしく低い出生率です。
少子化対策も検討されていますが、今の状況では当面大きな改善は見られないでしょう。
この点は、将来的に日本が成長する大きな阻害になります。

またもう一つ、日本の低成長の大きな理由には終身雇用制があると考えています。
一般的によく言われますが、給与が高く生産性の低い高年齢者の雇用が守られている限り、
企業の生産性は上がりません。

日本のGDPは数年以内に韓国や台湾に抜かれると言われています。
以上のような理由から、少なくとも10~20年間は日本経済の成長は見込めないと考えています

一方の米国も、コロナ後に急成長した大手IT 企業などの成長が昨年後半から止まりました。
金融引き締め政策により景気悪化が現実的なものとなっています。

しかし、米国はこの変化に即座に対応できる国です。
例えば、現在IT各社は急ピッチで人材削減が進めています。
今年は一時的な停滞になっても、数年後には成長軌道に戻るのではないかと考えています。

以上は、私の個人的な考え方ですが、資産運用においては、この様な長期的な目線が大事になると思います。

 

資産運用の上ではどの様な準備をしておくのが良いか?

ではこうした世の中で、資産運用においてはどのような準備をしておくと良いでしょうか?

※なおここで言う資産運用とは、短期的売買で利益を上げる「投機」は含まれません。
長期的にコツコツと運用を続ける「投資」が該当します。
(参照:「投資と投機は違います」https://kunitomi-fp.com/2020/07/26/toushi-to-touki/

例えば、今年の予想では、米国の景気減速が懸念されるという意見が多いようです。
だからと言って、米国株の運用を減らして他に振り替えるというのは早計です。

確かに、昨年あたりから運用を始めた方は、積立投資でも評価損が出ていて不安な方も多いでしょう。
しかし先ほど述べたように、長期的に日本より米国が成長すると考えるならば、現在の状況でも引き続き米国に投資する方が適しています。
私の場合も、米国や先進国を中心とした長期積立投資を軸にするという方針は変えないつもりです。

このような「長期的目線で判断する」点は、資産運用の上で重要なポイントの一つと言えます。 

なお、それ以外で、特に私が今年必要だと考えているのは以下の2点です。

1点目は、手元の準備資金を多めに残しておくこと。
これだけ不透明な世の中、何が起こるかわかりません。
場合によっては、安定した収入を確保できない状況が訪れるかもしれません。

それは経済的・社会的な事情だけでなく、災害などの可能性もありますし、自身の健康上の問題もあります。
そうしたことを考え、例年よりも手元資金の準備を厚めにしておくと良いと思います。
目安として、少なくとも1年間は働かなくても生活していけるレベルの資金が準備できると安心ですね。

その資金の置き場は銀行預金やタンスの中である必要はありません。
候補として、証券会社のMRF(Money Reserve Fund:普通預金の様なところ)が挙げられます。
ほぼ元本は確保されており、僅かですが銀行預金より利息が付きます。
また、状況の変化で新たな運用を始めたいとなったときも、スムーズに買い付けが可能です。

または、値幅変動の少ない債券中心の投資信託等で運用しても良いでしょう。
いざという時も1週間程度あれば換金可能です。
この様なすぐに準備できる資金を、今年は例年より多めに確保しておくと安心だと思います。

2点目は、更なる運用先の分散です。
先ほども触れたように、昨年後半は米国の急激な景気減速見舞われました。
金融引き締め政策がとられたため想定はされていましたが、それにしてもスピードが速かったです。
これに合わせて急激な円安も進みました。
こうした急激な変化が起きたときに損失を拡大させない様、資産を分散させておくことが大切です。

コロナ後の米国経済は成長軌道で、米国や先進国株での運用一辺倒という方も多かったと思います。
私も一部の日本株以外は、米国株式で運用する投資信託がメインでした。

今後は、新興国株、先進国債券など、幅広く資産の分散しておくことが、より一層大切になると考えます。
また通貨についても、円のみを保有するのではなく、米ドルなど日本以外のの主要通貨に一部分散させておくことも有効でしょう。

なお、保有資産を変更するにあたり、最近は日々の値動きも大きいのでタイミングを計るのが難しいです。
しかし、長期間前提の投資であれば、日々の値動きはさほど気にしなくても良いでしょう。

どうしても気になる場合は、日数を分けて毎日少しずつ買い付けるといった方法も有効だと思います。
この場合は時間の分散の効果も働きます。

 

新しい年のスタートに、今一度方針の確認を

以上は私の考え方で、特に運用先などは個人的意見なので、特別に推奨するものではありません。
それでも、一定の動かせる資金を確保する、資産を分散させるという手法は、どなたにも共通して推奨できる方法です。

いずれにしても、TVや新聞で見る今年の予想は参考程度とし、あくまで10年・20年といった長期的目線で考えることが大切になると思います。

資産運用は日常的にコロコロと判断を変えて売買するようなものではありません。
長期的目線で方針を決め資産の置き場を調整したら、あとは年に数回チェックをする程度でも良いでしょう。

それでも、新しい年の始まった今は、各方面の今年の予想を参考に、自分なりの長期的展望を考え、運用先を調整するのに、良いタイミングではないかと思います。

かく言う私も万時うまくいっているわけではありません。むしろ現在はどちらかと言うと苦戦中です。
しかし、日頃の運用成果に一喜一憂せず、長期的に自分の信じた運用方針をじっくりと貫いていこうと思います。

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