ついに純資産額トップに・・これからの運用の軸になる「インデックス型投資信託」

最近は、NISA口座の利用も広まってきて、長期・分散・積立投資で運用をする方が増えてきました。
その様な中で、以前は一定の資産を保有する方を中心に利用されていた投資信託も、今では多くの方が利用する身近な商品になってきたように思います。

投資信託は、多くの投資家から集めたお金を一つの資金としてまとめ、運用会社が複数の株式や債券などに投資して運用する金融商品です。
分散投資の必要性が見直される中、その利用価値が注目されるようになってきました。

投資信託協会の資料によると、2022年12月現在、日本では何と5800本以上もの投資信託が販売されています。また、その中で運用されている金額(純資産総額)も、157兆円以上と大きな金額になっています。

特に純資産総額は、昨年は株価の低迷等でやや減少したものの、2021年は過去最高の純資産総額となっており、最近になって多くの資金が投資信託に流入していることがデータからも確認できます。
このように、投資信託はより多くの方に身近な金融商品となっている様です。

 

資産運用のトレンド変化を象徴する出来事

投資信託は、以前は金融機関の窓口や営業社員から勧められて購入するのが一般的でした。
しかしNISA口座が開設された2014年以降は、徐々にインターネットでの取引が増えています。
最近では20~30代の層を中心に、新たに投資信託を購入する層が広がっています。
特に、つみたてNISAが設定された2018年以降、その流れに拍車がかかっています。

そして先週、その流れを象徴する出来事がありました。
投資信託の純資産額、つまり最も資金が多く入っている投資信託のトップに、インターネットで購入される投資信託の代表的商品・三菱UFJ国際投信の、「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」が躍り出たのです
因みにその純資産額は1兆8000億円以上、保有者は246万人。
2022年だけで純資産額が7300億円の増加、保有者は90万人増加とのことなので、ものすごい勢いです。

このニュース、世間に大きく報道されたわけではないので、ご存じない方も多いでしょう。
しかし、個人的には、これは大きな流れを象徴する出来事だと感じています。

それは、これまで純資産額上位を占めていたのは、どちらかと言うと、専門家の分析のもと、積極的に高いパフォーマンスを目指す「アクティブ型」投資信託でした。
それに対し、今回トップになった投資信託は、米国の主な株式指標(S&P500)に連動する成果を目指す「インデックス型」投資信託であるという、大きな違いがある点です。

極端かも知れませんがわかりやすく言うと、これまで百貨店が売上1位を占めていたものが、ネットショッピングに抜かれた、というイメージでしょうか?それだけ時代を象徴する出来事に感じられたのです。

 

長期分散投資の王道。
今後も注目される「インデックス型投資信託」

インデックス型投資信託は、市場全体の値動きに連動する運用成果を目指すタイプの投資信託です。
例えば日経平均やNYダウなどと言った、指標(インデックス)に合わせて値動きをするよう設計されています。

これに対してアクティブ型投資信託は、専門家が企業の業績や株価を分析して、市場の値動きよりも上回る成果を出せるよう設計されています。

これだけ聞くと、「それならアクティブファンドの方が儲かりそうじゃん!」となりますよね。
しかし、最近は必ずしもそうならず、インデックス投資信託の優位性が発揮される流れになりつつあります。
それは、主にインデックス投資信託の以下の特徴が挙げられます。

1)手数料が安い

投資信託を保有する上で重要なのが手数料(信託報酬)です。
信託報酬は、保有する金額に対し一定の利率が毎年発生します。
たとえば、信託報酬1%の場合、100万円保有していたら、毎年1万円の手数料が生じています。
これを仮に10年でも保有していたら、手数料は10%にもなってしまいます。
長期保有する投資信託では、信託報酬がパフォーマンスに大きな影響を与えるのです。

この信託報酬、アクティブ投資信託の多くは年1%以上、中には年2~3%といった商品も存在します。
これに対しインデックス投資信託で手数料の安い商品は、年0.1~0.2%程度です。
専門家の詳細な分析が必要なアクティブ投資信託は、その分コストも生じます。
それに対し、指標に合わせているインデックス投資信託は、専門家の分析が不要な分、コストを下げることが可能です。

ちなみに、今回1位となった三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、0.0968%以内と、トップクラスの手数料の低さになっているのも人気の理由です。

2)インターネットで取引できる手軽さ

大半のインデックス投資信託は、インターネットで証券会社から購入することで、購入時の手数料もほぼゼロとなります。一方で金融機関の窓口や営業社員から購入した場合、一定の販売手数料が生じるのが一般的です。
また、信託報酬も高い商品を紹介されるケースが多いです。
その様な人手を介さずに、安い手数料で気軽にインターネットで購入できるのも、大きな特徴の一つです。

3)安定的な成長が見込める

指標に合わせているインデックス投資信託ですが、その指標の中で最も人気なのが米国株式に関する指標です。
米国株式は、これまで戦前の大恐慌や最近のリーマンョックなど、数々の危機を乗り越えて成長しています。
そして2020年のコロナショックも乗り越えました。
特に2021年はコロナショックからの回復で、米国株式の指標は大きく上昇しました。
特にGAFAMと言われた米国巨大IT企業の成長がその流れをけん引しました。
コロナショックを乗り越えたことで、安定的な成長への信頼感が増したことも、大きな要因と言えるでしょう

4)わかりやすい

インデックス投資信託は、毎日ニュースなどでもよく目にする指標に合わせた値動きをしています。
その点がわかりやすいということで、運用の初心者にもお勧めしやすい商品です。
また、つみたて投資などでは、一度設定すると自動で積み立て購入をするので、いちいち手続きをする必要もありません。この様な手軽さ、わかりやすさが人気になっています。

この様な点から、インデックス投資信託は時代に流れに合った商品であるという事ができると思います。

 

米国株式の指標「S&P500」とは

そして今回「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」の運用先は、商品名にある通り、米国株式(S&P500)という指標になっています。
米国株式はその名の通りですが、このS&P500とは、どの様な指標なのでしょうか?

S&P500は、S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLCという会社が公表している指数です。
市場規模や業績、取引の多さなどから選ばれた米国株約500銘柄の時価総額を加重平均したものです。
また、組み入れられている銘柄は、実績などを反映して、定期的に見直しされています。
したがって、米国市場全体の最新の動きをおおむね反映している指標という事ができます。
2021年末現在の組入れ上位銘柄は、アップル・マイクロソフト・アマゾン・アルファベット(Google)・テスラ・メタ(Facebook)などの会社となっています。

このS&P500指数、1990年を100とすると、2022年末現在は1200前後となっており、30年余りで10倍以上も成長したことがわかります。その様な点からも、米国株への投資信託、特にS&P500は人気の指標となっています。

ちなみに、ニュースなどでも良く見るNYダウは、米国の通信社ダウ・ジョーンズ社が算出している指数で、ニューヨーク証券取引所やナスダック市場に上場している代表的な30銘柄の平均を算出しています。ダウ工業株などと言われることもありますが、現在は工業系の会社に特化した指標ではありません。

それともうひとつ、先ほども出たNASDAQという指標は、全米証券業協会が運営する株式市場の名称です。
主にハイテク企業やIT企業などの新興企業が中心になっています。

 

新NISAでこれからもインデックス投資信託に注目が

このように、今回純資産総額が1位となった「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」は、最近の時代に合ったインデックス投資信託である点、その中でも、安定的な成長が見込まれる米国株式S&P500の指標に合わせた値動きをするという点で、人気が上昇したということになります。

私はこのブログで特定商品を推すことは少ないですが、さすがに純資産額1位だけあり、安心して利用できる投資信託の1つになると思います。

来年からは新NISAが始まり、つみたて投資枠も年間120万円と大幅に増加します。
さらにインデックス投資信託を利用する人は増えていくでしょう。

今回ご紹介した「eMAXIS Slim米国株式(S&P500)」に限らず、各社からインデックス投資信託は多数発売されています。
長期・分散・積立運用の軸となる商品には、信託報酬が低く、長期的に成長の見込める米国や先進国の株式を中心に運用するインデックス投資信託の活用をお勧めします。

もちろん、分散投資なので、日本株や新興国株、債券などに投資する投資信託と併せて運用することで、より安定的な運用成果が出てくると思います。
あくまで長期運用。すぐに成果の出るものではありません。長期的にコツコツと継続していきましょう。

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