今年多かった相談テーマトップ5~やはり世相が表れてます

2021年も間もなく終わりですね。今年もお世話になりました。
今年も昨年に続き、新型コロナに翻弄される年となりました。
さらに今年はオリンピックや首相交代からの衆院選などもありましたね。
1年の半分以上は緊急事態宣言が発出されていたという状態で、経済・社会活動も全体的に収縮気味でした。
しかし、秋にかけて感染が急速に落ち着いて経済が回り出すと、今度は半導体をはじめとした物資の不足、更には原油や食料の価格高騰など、物流の混乱が続くようになりました。
今もその状態を引きずったまま年末を迎え、全く落ち着く間もなかった印象です。

今年の相談内容を振り返ってみても、その様な世相を反映したものが多かったように思います。
今回は年末でもあるので、特に話題になることが多かった相談事例トップ5をランキングで上げてみたいと思います。
(なお、ランキングは私の主観によるもので、実際に相談件数や時間を計測したものではありませんのでご了承ください)

 

第5位:キャッシュレス決済やポイント還元広まる

キャッシュレス決済は以前からも普及しつつあり、PayPay、D払い、AUPayなど多くのサービスがスタートしていました。
そこに昨年広まった新型コロナの問題で、非接触決済が感染防止にもなるということもあり、一気に普及が進みました。
また、マイナンバーカード普及のため、マイナンバーカードにキャッシュレス決済を紐づけてポイント還元する「マイナポイント」の制度もありました。マイナンバーカードはコロナ前に普及していれば、一律10万円給付などが更にスムーズに進んだだろうと言われました。

こうした流れもあり、各社はキャッシュレス決済の取り込みに力を入れ、一気に普及が進みました。
また、こうしたポイント還元等のキャンペーンは国主導のものに限らず、各社が期間限定で一定のエリアや店舗で20%~30%といった大幅なポイント還元をする動きも出てきています。

このようなポイント還元は、家計にも大きなメリットを与えるようになり、「ポイ活」として広まっています。
相談者とのお話の中でも、メインの相談テーマになることは少ないものの、この「ポイ活」が話題になることが多かったです。

上手に活用されている方は、スマートフォンやキャッシュレス決済、その利用額を引き落とすクレジットカードを一定のグループ企業内でまとめて、「ドコモ経済圏」「楽天経済圏」といった、より多くポイントをためる仕組みを作っています。

一方で、レストランやスーパー・コンビニなどで、現金で精算している方もまだ多いようです。
これからは、こうした制度に適応できる人とそうでない人の差が広がりそうです
中には高齢者やスマホを持たない人の事を考えるべきだという人もいますが、これからは世の中の進化に私たちが合わせていく方が現実的だと思います

まだ活用しきれていない人も、今はこうしたポイント還元制度などメリットもありますので、早いうちに利用を始めるのが良いと思います。また私たちも、その様な方々に使い方やメリットなどを、様々な場面で伝えていきたいと考えています。

 

第4位:医療保険やがん保険の見直しをする

生命保険会社はここ数年、特に医療保険やがん保険の新商品開発に非常に力を入れています
これは、長期間続くゼロ金利政策により、年金保険や終身保険など、貯蓄型の保険の予定利率が非常に低い状態で、商品の魅力が打ち出せない状態が続いているからです。以前はこうした保険は、老後の資産形成に向けて多くの方が加入していましたが、今は低金利で長期間積み立てをすることになり、資産形成に向く商品とは言えません

変額保険や外貨保険なども出ていますが、そもそもNISAなど安い手数料で多くの運用商品に気軽に運用できる今、手数料も割高で、長期保有が前提となる保険商品の優位性は下がっていると言えるでしょう。

そうした中、多くの方が必要性を感じていて販売もしやすい、医療保険やがん保険の開発競争が激しくなり、今では毎月の様に新商品がどこかの会社から発売されているような状況となっています。

最近のトレンドとしては、医療保険では、短期間の入院が多くなっていることから、日数に関係なく1回の入院でもまとまった給付金が支払われるものが増えてきています。※医療保険は戦国時代!?最近のトレンドと検討する際のポイントもご参照ください。

またがん保険では、初回のがんだけでなく、再発したり治療が長引いたりした場合でも、支払いが継続するといったものが多くなっています。また抗がん剤治療・ホルモン治療など、治療内容に合わせて給付される特約も増えています。

医療保険やがん保険の相談が増えたのは、こうした新商品が増えてきたことのほかにも、新型コロナの影響で多くの方が入院を身近に感じるようになったこと(新型コロナ感染の場合、多くの保険会社は在宅療養やホテル療養も入院したものとして給付金を支払っています)や、家計の変化で固定費である保険の見直しをする方が増えた等、多くの要因が考えられます。

いずれにしても保険は健康保険やお勤めの会社の制度などを確認しながら、必要最低限で無駄の無いよう加入することが大切です。

 

3位:生前贈与がダメになる!?

相続の分野では、生前贈与に関するご相談が多かったです。
生前贈与は、相続税対策のひとつで、亡くなる前に子供や孫に財産を贈与して、相続する財産を減らすために行われます。
暦年贈与といって、贈与税が課税されない年間110万円以下の贈与を毎年行うことで、非課税で相続財産を少しずつ減らしていくことができます。

しかし、昨今の富裕層への資産課税強化の流れを受けて、20年末の税制改正大綱では、「資産移転の時期の選択に中立的な税制の構築に向けて、本格的な検討を始める」と記載されました。
そのことから、21年はこの暦年贈与の手法が封じ込められるのではないかとメディアでもよく取り上げられるようになり、ご相談も増えてきたのではないかと思います。

贈与の制度でまず改正が見込まれるのは、財産を相続した人は、相続開始前3年間に受けた贈与も相続財産として持ち戻されるという規定についてです。この規定だと、毎年110万円贈与していた親が亡くなった場合、直前3年間の贈与330万円分が、相続財産に加算されていました。

早ければ来年にもこの制度が改正され、持ち戻される期間が3年間から10年間以上に変更すると言われ、特に高齢の方などは、実質生前贈与が不可能になるという事が言われていました。

今年の12月の税制改正大綱ではこの点は触れられませんでした。しかし、いずれにしても相続税など資産課税の強化は岸田政権でも政策の1つに入っており、来年の参議院選挙が過ぎると、本格議論が進むものとも思われます。

将来的には贈与税が相続税と一体化して、生前贈与という仕組み自体不可能になるともいわれています。
いずれにしても相続税対策は、最新の情報を確認しながら、早めに取り掛かるのが良いでしょう。

 

2位:住宅ローンはどのように組んだらよい?

住宅ローンに関する内容も今年多かったご相談の一つです。やはりコロナによるテレワークの広がりや、在宅時間を充実させようといった考え方の変化で、家を買い替えるという人が多かったのでしょうか?

また、住宅ローン金利が非常に低金利なのも要因の一つでしょう。最近では優遇施策を適用すると、変動で0.3%台といった超低金利も出てきています。

このような状況の中、各金融機関も金利による差別化はしにくくなっていることから、付帯サービスに力を入れるようになっています。その一つが、ローンに付帯する団体信用生命保険の充実です。

基本的な団体信用生命保険は、死亡した場合にローンが免除になるというものが一般的でしたが、昨今は障害や病気等で長期間仕事ができなくなった場合にローンが免除になるものや、災害で家が損害を受けた場合に免除になるものなど、保障を充実させるプランが増えてきています。

この様な動きから、加入している保険と比較検討したりするなど、住宅ローンのプラン選びも選択の幅が広がっています。
また、来年からは住宅ローン減税の控除額の縮小が決まっており、この件についてもお問い合わせをいただいています。
(すでに購入して居住を始めた方は、購入時点の年の控除の規定が適用されるため、今回の改正は影響ありません)

不動産業者やハウスメーカーなどでは、頭金不要とか、家賃並みの支払いで戸建てが買えますなどという宣伝文句も見かけます。しかし住宅は高額なものであり、ローンも長いおつきあいになるものです。

住宅購入にあたっては物件価格やローンのシミュレーションなど、様々な要素を慎重に検討し、無理のないプランを立てることが大切です。

 

1位:つみたてNISAやIDeCoで資産運用を始めたい

そして相談で最も多かったのはこちら。と言うか、私の方から多くの方にお伝えしたテーマがこちらです。

すでに超低金利状態は長く続き、銀行に預けていてもお金は増えない状態が続いています。
以前から貯蓄先について悩む方は多かったですが、ここに来て新型コロナの影響で旅行や外食が減り、意外にも多くの方がこのコロナかで預貯金を増やしており、運用へのニーズが高まっているようです。

そうした中、ワクチン接種が進み、感染が縮小してきた国から経済活動が再開し、先進国を中心に株価なども大きく上昇。NYダウは史上最高値更新、日経平均も30年ぶりの高値を付けるなど、株式市場も活況です

こうした報道を見て、これまで預貯金や貯蓄性保険のみで資産を保有していた方が、運用をスタートしたいと考える傾向が増えています。その流れから、インターネット証券会社の資産流入額は2020年には過去最高となり、NISA口座などを活用して、非課税投資をスタートする人も急増中です。

投資というと、ギャンブルみたいだと敬遠する人もいらっしゃいます。しかしそれは短期間で利益を上げようとする「投機」です。一方で、私が多くの方にお話をするのは「投資」です。投資は、10年以上と言った長期的にじっくり取り組む前提で、しっかりと資産を分散します。そして毎月一定額を積み立てるという方法を取ることで、高い確率で成功することが統計的にも確認されています

また、手数料が低く、米国ダウ・S&P500・日経平均など、主要な指標に合わせた値動きをする「インデックス型投資信託」を活用するのもポイントです

こうした着実な「投資」をスタートするのに適している制度が、つみたてNISAやIDeCoなどの非課税投資制度です。詳しい特徴などはここでは省略しますが、比較的わかりやすく、リスクの少ない商品がラインナップされているので投資初心者でも安心です。※今資産運用を始めるなら「つみたてNISA」をお勧めしたい理由もご参照ください。

昨今は物資不足で物価の高騰も続きます。しかし私たちの所得はすぐには上がりません。
こうしたことから、物価上昇に負けないペースで運用を続けていく事は今後必須です

岸田総理は「成長と分配の好循環」といった政策を打ち出しています。この考え方自体は間違っていないと思いますが、この成果が出るのを待っていては手遅れです。早い段階で成長している分野に資金を入れて、分配の果実を自ら確保していくという考え方が必要になるでしょう

そのためには、まずはこうしたつみたてNISAなどの制度を活用するのが、リスクも少なく、少額からスターできるので最適な方法です。まずはスタートして慣れてきたら徐々に運用額を増やしていくことで、将来的に大きな資産形成に間違いなくつながっていくと思います。まずはスタートすることが肝心です。

 

変化のスピードが速い世の中についていく!

このように、今年も様々なご相談をいただきましたが、どの相談も昨今の社会情勢が何らかの形で関わっているように感じます。したがってご案内する内容も、より最新の世界の経済・社会情勢に即したものでないといけません。

今まで、これほどまで世界の経済・社会の動きが家計を直撃することは、なかったように思います。世の中の変化のスピードも速まるばかりです。

そうした変化に置いていかれないように、変化に気づいて動いた人が残っていき、何もしない人は取り残されていく…
厳しいようですが、これからはその様な世の中になっていくでしょう。

FP相談をされる方の多くは、そのような変化に気づき、何か動かなければという思いの方が多いです。
その様な方々のご期待に応えられるよう、私自身も常にアンテナを張って最新の情報を入手し、変化の時代でも安心していただけるご案内ができるよう、これからも努めていきたいと思います。

来年はどのような年になるでしょうか?想定しないことが起こるかも知れませんが、少なくとも今年よりはコロナ感染が収束するか、あるいは恐れるほどでもない日常的な病気の一つ程度になると良いですね。

というわけで、今年1年間お世話になりました。来年もよろしくお願い致します。どうぞ良い年をお迎えください
(12月31日~1月3日はお休みをいただき、新年の相談受付は1月4日より開始いたします)

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