医療保険は戦国時代⁉最近のトレンドと検討する際のポイント

生命保険会社も最近は低金利が続くことから、貯蓄目的の運用商品の魅力が薄れ、医療保険に力を入れてきています。
医療保険は、何となく皆さんが必要だと思ってる商品なので、保険会社も販売しやすい商品と考えているんですね。

その様な流れもあり、今年に入って各社の商品改定が非常に目立つようになってきました。
とは言っても、現在20社以上の保険会社が医療保険を発売しており、どのような基準で選べばよいのか、迷ってしまいます。

そこで今回は、最近の医療保険のトレンドについてまとめ、検討にあたってのポイントについてお話したいと思います。
なおここでは、一般的なトレンドということで、具体的な商品をご案内するわけではありませんのであらかじめご了承ください。

短い入院にしっかり給付「短期入院給付」

最近は医療技術の進歩、病院の経営方針などから、入院の短期化が進んでいます。
厚生労働省の資料によると、平成5年の入院患者の平均在院日数は41.9日であったのに対し、平成29年は29.3日と、大幅に短期化しています。また全体の7割近くが、2週間以内の入院だそうです。
入院が短期化したら、入院1日あたり〇〇円という給付だと、給付が減ってしまいますね。

そこで、入院1日にあたりいくらという給付に加え、1日でも入院したら5日分や10日分受け取れるといった給付をしたり、30日までの入院なら1日でも30日でも給付金は同じといった商品も出てきています
20年ほど前の医療保険は入院5日目から給付されるものが主流だったことを考えると、大違いです。

保険料はやや割高にはなりますが、今は貯金が少ないので短い入院でも負担が大変!という方は、こうした短期入院の備えのついた保険を選ぶのも良いと思います。

診断されたら給付される「診断給付金」

入院が短くなっていて、場合によっては、薬を服用しながら自宅療養する、日帰り手術で治すなどというケースも多いです。そうすると、入院のみの給付では役立ちません。
最近では、特にがんや、脳血管疾患、心疾患など、特定の疾病と診断された場合に、「がん診断給付金」「3大疾病給付金」「特定疾病給付金」など、診断されたらまとまった金額を給付する診断給付金の特約の種類が増えています
いわゆる「がん保険」は、がんと診断されるとまとまった金額が給付されますが、その発展形です。
治療法はどうであれ、診断の時点で出るのだったら、最適な治療法を選べるので安心ですね。

ただし、どのような診断が出たら給付されるのか、あるいは何回給付されるのか、細かくチェックすることが大切です。
たとえばがんであれば、進行や転移の少ない上皮内がんでも給付されるのか、あるいは心疾患であれば心筋梗塞にならないと給付されないのか狭心症などの疾患でも出るのか、などが確認ポイントとなります。
また、診断だけでなく入院や手術が要件となっている場合もあり、何日間入院したら出るのか、あるいは手術すれば給付されるのか、など、商品により基準が異なりますので、よく確認することがと大切です。

また、以前は一度出たら終わりというものが多かったですが、最近は1年や2年経過して再発したり治療を継続していれば再度支払われるといものも多いです。
これが結構大事で、例えばがんになると、その後再発や転移が心配になります。
がんの罹患経験のある方は、多くの方が「もう保険は入れませんよね」とおっしゃいます。
診断給付金は1度きりでなく、一度支払われてもまだ保障の続く複数回給付型であるかを確認しましょう。

最近は、がん患者の生存率が高まっています。これはがんの治療技術が進歩したのはもちろん、がん検診を受ける人が増えたり、がんを早期に診断する技術が進歩している点も理由として挙げられます。
今後診断される人が増えるのであれば、こうした診断給付の保険は今後保険料が上がることも見込まれるので、その点も検討の材料となるでしょう。

治療を受けたら給付される「治療給付金」

診断給付金の一方、医療技術の発達で、特にがんなどは治療法も増えてきたため、特定の治療を受けると給付金が出る保障も増えています。「放射線治療特約」「抗がん剤治療特約」「ホルモン治療特約」などがそれで、特定の治療を受けると給付金が受け取れます。これらの治療は長期間継続することも多いので、保障として備えていると安心です。

ただし、治療技術は時代とともに進化します。将来的に新しい治療法が出てきた場合など、それに合わせて保険に加入していたら切りがありません。これらの保障も発売されて数年のものばかりであるのに対し、保障期間は一生涯である場合も多いです。
一見目を引く特約ですが、よく給付の条件を確認して検討すること必要です。

いざとなると保険料の払込みが免除される

医療保険は保障内容と保険料が気になりますが、いざ大病して給付を受けるようになったとき、その後の保険料はどうなるか、考えたことはありますか?
「一度給付を受けたら、保険料って高くなるの?」というご質問をいただくことがありますが、医療保険はそのような事はありません。それは恐らく、事故をすると保険料が上がる自動車保険と同じイメージをされているのだと思います。

多くの医療保険にはオプションで「保険料払い込み免除特約」が用意されており、一定の病気に罹患すると、その後の保険料の支払いが免除になるという特約が用意されてます
がんと診断された時、3大疾病と診断されたとき、など、商品によって免除となる事由はそれぞれです。
この特約があれば、例えば大きな病気でこれから闘病を続けなければいけない、収入も減少しそうだという時に、その後の保険料の支払いがストップします。どれでも保障はそのまま継続しますので、安心して治療に集中することができます。
保険料はやや割高になりますが、つけておくと安心な特約の一つです。

特別条件がつくことがある

せっかく医療保険に申し込んでも、入院歴があった場合などは、その入院に関わる疾病は数年間保障対象外にするなど、保障の一部を制限して引き受けるケースがあります。これを特別条件付きの契約と言いますが、こうした特別条件も最近は緩和する保険会社が増える傾向にあります。

商品の特徴としては見えない部分ではありますが、検討の際は重要な点となります。いくら保障内容が良くても、保障を引き受けてもらえなくては意味がありません。
一度申し込んだ後でも、引受けに条件が付いた場合は、申し込みを取り下げることができます。保険会社によって引受けの基準は異なりますので、特別条件などが出た場合は、他の保険会社の引受も確認してみることをお勧めします。

持病があっても入れる「緩和型医療保険」

持病がある方などに向けて、加入時の告知項目を大幅に減らした、引受け基準緩和型と呼ばれる商品も増えてきました。
例えば糖尿病で通院中といった方も、入院や手術に至っていなければ、加入することが可能です。
また、かつてはがんに罹患したことある人は医療保険の加入はほぼできませんでしたが、現在は一定の条件のもと、加入できる保険を取り扱う会社も増えてきました。

しかも、従来この緩和型保険、多くが加入後1年間は保障を半減するとしていましたが、現在は加入当初から100%保障するという商品も増えてきています。
持病をお持ちの方ほど医療保険のニーズは高いと思いますので、選択肢が広がっているのは良いことだと思います。
ただし、一般の医療保険より保険料は割高になりますので注意が必要です。

あくまで健康保険の補完。無駄のない範囲で検討を

このように、医療保険はいま戦国時代といえるほど、新しい商品やサービスが出てきています。
どの商品もそれぞれ特徴があるのですが、自分のニーズに合う商品を選び出すのは至難の業です。
すべての心配事をカバーしようとしたら、保険料がいくらあっても足りません。
保険ショップの店員さんや保険会社の営業担当者は多くの特約を勧めてくることが多いですが、その言いなりにならず、本当に必要で、自分が持っていると安心と感じられる保障のみ、自分の判断で選択することが大切です。

そして何よりも、医療保険を検討する前に、皆さんは健康保険に加入しているかと思います。
健康保険では、保険適用の医療費に一定の上限額を設定している高額療養費制度、あるいは長期的に就業できない場合に、標準報酬月額の約2/3の額を最大1年半受け取れる傷病手当金制度など、すでに大きな保障が準備されています。
また会社勤めの方などは、勤務先の健康保険組合独自の付加給付が思いのほか充実しているというケースも多いです。
医療保険はあくまで健康保険の補完として、必要な部分にだけ最低限、無駄のないように加入するという考え方が大切です

 

※ここに記載した保障内容は特約の名称は一般的なものです。検討する際は各保険会社の資料や約款をご確認ください。

 

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