住まいは購入?賃貸?テレワーク時代の住宅購入で意識したい事

住宅購入を検討する人が増えています

新型コロナウイルスの影響でテレワークが広がってきました。
自宅で仕事できる部屋がないとか、高い家賃を払って都心近くに住む必要がないといった理由で、住宅購入を検討される方が増えているようです。また、年度末から始めにかけて緊急事態宣言で商談ができなかった反動もある様です。
家を買うか賃貸のままかというご相談は以前から多く、ローンと家賃を比較したり、将来の資産価値を検討したりと、よく話題になる分野です。しかしこの住宅購入に関しては、物件を販売したい不動産業者と、ローンを融資したい金融機関が魅力的な話をたくさんしてくるので、冷静な判断力を失ってしまいます。特に今はテレワークで不自由していることもあり、モデルルームで魅力的な住まいを見つけたら、つい即決してしまうかも知れません。
しかし住宅購入は長期的な負担が続きます。できるだけ客観的な資料をそろえ、FP等第三者の専門家の意見も聞きながら、慎重に検討を進めていきたいところです。

住宅所有のメリット・賃貸のメリット

まずよく言われている事ですが、住宅を購入するメリット・デメリットを整理しておきます。

○住宅購入のメリット

・将来の資産として残る
・高齢になっても住むところが確保できる
・リフォームが自由
・インフレ時も資産価値が保たれる
・団体信用生命保険で死亡時はローンが免除になる

○住宅購入のデメリット

・長期のローンに縛られる
・ローンの金利負担が生じる
・転居しづらい
・災害等で資産を失うリスクがある
・固定資産税・修繕積立金・火災保険等の負担が継続する

では、購入と賃貸、どちらが良いかという話になると、これは一概に答えは出せません。
十数年前までは、住宅を購入することがライフプランの最終目標だとする方も多かったです。
しかし最近は、人口減少により不動産の需要が減ることから、不動産価値の下落を心配したり、転職や非正規雇用の増加で、長期的なローン支払いに不安を感じたりする人が増えています。
購入するか、賃貸に住み続けるかのコストを比較する場合、仮に将来の物価やローン金利、不動産の資産価値が変わらないものとして、総費用を比較することはできるでしょうが、昨今の様に経済情勢が大きく変化したり、災害が頻発したりする世の中では、その計算通り行く可能性はほぼありません。
その様な中でも、テレワーク時代に住宅購入を検討する際に、特に気を付けたい点について挙げてみたいと思います。

テレワーク時代の住宅購入で意識したい事

○無理のないローンが組めるか~部屋数や広さで贅沢し過ぎないように

多くの方は住宅購入にあたって、住宅ローンを組まれると思います。
その場合、銀行の融資は年齢、現在の年収、勤務先など、様々な条件から融資の条件が提示されます。
銀行も多くの金額を融資したいので、無理のない金額よりも多くの額を借りることが出来るケースも多いです。
また返済終了年齢も80歳まで組むことが出来ます。
しかし、銀行がOKと言ったからといって、それが安心して返済できる条件とは限りません。
銀行の融資限度額は銀行によって設定が異なりますが、おおよそ年収の8倍程度を設定しているところが多いようです。
そうすると、仮に年収600万円の人の融資限度額を4800万円として、これを満額借り入れると、35年・金利0.8%の返済で、月の返済額は131,069円。ここにマンションだと管理費や修繕積立金が加算され、月の負担額は15~16万円にもなります。
年収600万円の方の手取り額は月に30万円前後の場合もありますので、月の手取りの半分以上を負担することになり、現実的ではありません。多くても、諸経費入れて月の手取りの1/3程度に抑えたいところです。
残念ながら給与が確実に右肩上がりで上がっていく時代ではありません。コロナの影響で急激に業績悪化した業界もありますよね。また、テレワークで残業代も減りがちです。また、金利が上昇すると返済額も上がります。
テレワーク時代の住宅選びはどうしても部屋数の多い物件、広い間取りの物件など、高望みしがちです。
しかしローンを組む際は、月々の返済額、返済期間をよく検討して、無理のない返済計画で借入ができるか、この点を十分に確認することが、今までにも増して大切です。

○資産価値のある家を持てるか~遠すぎる物件はNG

これから買う家は自分の終の棲家で、ここで生涯を終えるんだと腹をくくったとしても、経済情勢も不透明な昨今、仕事や家族の都合で、やむを得ず家を売却しなければならない場面も出るかもしれません。
その様な事が起きない条件で探すことは大切ですが、ある程度の資産価値の残る物件を持つという考え方が大切になるでしょう。
テレワーク時代の住まいは都心の近くである必要はないという考え方もあります。
多少遠くても毎日会社に行くわけじゃないからいいやと考えてしまいがちです。
しかし、都心から電車で1時間以上、そこからバスで移動といった物件は、今後人口が減少し不動産需要も縮小する中、資産価値は下がる一方です。借入れできる金額の問題もありますが、駅から近い事、周辺の環境が良いこと、マンションなら標準的な間取りで再販売しやすい事、管理が行き届いている事など、できるだけ資産価値の残る物件で検討することをお勧めします。

 

目先の快適さだけでなく、先々を見据えて慎重な検討を

不動産は流動性の低い資産であり、株式や投資信託のように簡単に取引できるものではありません
新型コロナの影響で生活スタイルが大きく変化する中、日々の生活を快適にしたいという気持ちが強まるのは当然のことです。
しかし現在は、目の前の生活だけでなく、社会全体も大きな変化をしています。
不動産の資産価値、勤務先の将来性、家族との関係、老後の生活・・・
以前にも増して、不透明な時代。検討すべき要素は増えているように感じます。
住まいの問題は将来のライフプランの基盤です。このような時代だからこそ、テレワークするのに狭いから、家賃が高いからという理由だけでなく、様々な観点から総合的に検討して判断されることをお勧めします。

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