ウクライナ危機で変わる世界~今こそ本気で取り組みたい家計と資産の防衛術

ロシアのウクライナ侵攻が始まり3週間ほど経過しました。

市民の犠牲者も日を追うごとに増え、本当に、テレビでも悲しい光景が毎日のように報道されています。原子力発電所や関連施設が攻撃されるなど、一歩間違えればチェルノブイリの再現かという場面もありました。プーチン大統領の常軌を逸した行動に恐怖すら感じます。
この様な流れから、明らかな国際法違反であるロシアに対し、欧米諸国を中心に経済制裁が行われています。

ロシアは広大な国土から豊富な資源を算出する国です。この経済制裁によって全世界に影響が及びます。特に、天然ガスの輸出量は世界で断トツの1位(2019年)、原油も輸出量はサウジアラビアに次いで2位(2020年)となっています。これらの資源の輸入規制で、世界のエネルギー供給量が減少し、価格が高騰する懸念が起きています。

実際に世界の原油取引価格の指標であるWTI原油先物価格は、3月7日に130ドルを超え、13年ぶりの高値を付けました。最近は価格も下がってきましたが、長期的には発電コスト・輸送コスト増加など、産業全体に影響を与え、広範囲に物価上昇を招くことになります。そのため消費の減少などから景気後退が懸念され、株式相場なども下落する流れが起きています。

この他にも、半導体の原料となるパラジウムという金属はロシア、ネオンガスはウクライナが主要産出国です。ウクライナ危機以前から半導体不足が問題になっていましたが、更なる供給懸念が広がりそうです。
また食料品でも、小麦やトウモロコシなどの主要な輸出国です。こちらも供給不足による価格高騰が起き始めています。

戦況がここまできてしまうと、簡単に元の経済状態には戻らないでしょう。
仮に戦争が終結しても、ここまで破壊行為を続けたロシアを、無罪放免というわけにはいきませんし、ウクライナの経済もすぐには元に戻りません。今後ロシアやウクライナからの資源供給なしで、需給バランスが安定するまでには、かなりの時間を要すことになるでしょう。その影響は私たちの生活にも影響を及ぼします。

今回ばかりは、本腰を入れて私たちの資産や家計を守る対策を取る必要がありそうです。

ウクライナ危機対策~家計編

○物価上昇に先回り

ウクライナ危機が発生する以前からも、食料品やエネルギーの価格上昇は起きていました。ガソリン価格はすでに10数年ぶりの高値でレギュラーガソリンは170円台と高騰、小麦製品であるパスタやパンなどの価格は、既に昨年から値上げが続いています。
しかしこれはまだ始まったばかり。ウクライナ危機の影響が出てくれば、今後更に価格上昇の流れに拍車がかかるでしょう。

それ以外にも、多くの品目に広がっていきそうです。

▷電気製品全般:半導体材料であるパラジウムなどの金属はロシアが、ネオンガスはウクライナが主要供給国
▷そば:意外にも輸入が8割。ロシアは生産世界一で、日本への輸入は中国・米国に次いで3位
▷金属製品:ステンレスの原料であるニッケル・クロムなどはロシアの生産が多い。台所用品などに影響が。歯科治療で銀歯に使われるパラジウムもロシアが世界の40%を産出
▷海産物:寿司ネタで人気のうに・いくら・ずわいがになどはロシアからの輸入が多い

などなど、様々な製品に影響が出てきます。

この物価上昇に対抗するには、パンや海産物は難しいかも知れませんが、パスタや麺類など、買い置きができるものは、早めに購入しておく、また買い替えの近い電気製品や金属製品も、早めに買い替えておくと良さそうです。

ちなみに、パン食を米食中心に変えるという場合、お茶碗一杯のコメの値段は25~30円程度です。
食パン1枚分くらいですかね。ベーカリーのパンと比較すれば、安いかもしれません。ご参考までに。

○固定費の無駄をチェック

また、家計防衛で最も有効な対策は、毎月定期的な出費となる、固定費の削減です
固定費のうち、電気・ガス代など、エネルギー関連の価格は大幅な上昇が予想されます。
冷暖房効率や自動車の利用の仕方を中心に、無駄がないか、見直してみると良いでしょう。

一方で、以下の項目については、価格上昇の波の中でも、削減する余地があります。

▷携帯の通信費~昨年あたりから新プランが続々と出ています。私もプラン変更し月3000円ほど安くなりました。
▷生命保険料~医療保険などは新商品が多い上に、ムダな保険の見直しで保険料を下げることができます
▷住宅ローン~数年前の高い金利で借り換えをしていない場合、見直し余地があるかも知れません。
▷定額課金~スマホのアプリ、利用してないサービスの会費など、無駄な支払いはないですか?

こうした固定費の無駄をなくすことで、なんとか家計への影響を最小限に抑えていきたいところです。

ウクライナ危機対策~資産運用編

○長期積み立て投資はコツコツと継続

こうしたエネルギーをはじめとした物価上昇は、景気減速を招く懸念があり、株価も世界的に下落しています。そしてこの流れは、簡単に元に戻るようなものではなさそうです。

今この状況で一番やってはいけないことは、保有資産価格の下落に狼狽して、それらを売却してしまう事です。
中には、最近積み立て投資を始めた方が、評価額がマイナスに突入したからと言って、解約してしまう方がいます。積み立て投資の様に、定期的に一定額で買い付ける方法は、今回の様な相場の下落時に多くの単位の購入ができます。それが将来相場の回復する過程で、徐々に運用効果が表れてきます。

もちろん、今回の様子ではすぐには元に戻らない可能性もあります。しかし、5~10年と長い期間で見れば元の通りに戻ることがほとんどです。
つみたてNISAをはじめとした長期積み立て投資は、今回の様な変動は気にせずに継続することです

 

○しっかり分散してリスク軽減

また、今回の様に、世界の地政学リスクが高まる中で、資産運用をする際に最も重要なのは、資産の置き場を分散する事です。例えば、今回の危機で世界的に物価上昇が続き、景気減速リスクが高まると、ITや先進技術などの成長株は大幅に下落します。一方で、資源や商社などは上昇している銘柄も多いです。

成長株のみ保有していると、資産が大幅に減少することになります。
今年は、米国もゼロ金利政策から政策金利の利上げを予定しており、コロナの財政出動が続いた流れが大きく変わる潮目でもあります。保有資産が偏っていないか確認をするのに、今はちょうどよいタイミングではないかと思います。

また、今回はロシアの通貨ルーブルが、経済制裁で大暴落しました。またロシア国債やロシア企業の株も同様です。ロシアの株や国債で運用している人は少ないかもしれませんが、新興国の投資信託には組み入れられている商品もあります。保有する投信の運用先の確認も必要です。

 

○保有する通貨を分散。商品・暗号資産も含めて検討

通貨の問題という意味では、日本円はこれまで、有事の際に買われる安全通貨と言われていました。しかし今回は、諸外国と比べて経済成長の遅れも目立ってきたせいか、逆に円安が進んでいます。他の国が利上げをする中で、金利が低いままだという事もありますね。

そして将来的には、考えたくはないですが、中国との関係が悪化した時に、日本円の価値が担保される保証はありません。もちろん日本で暮らしていく以上、保有資産のほとんどを円で保有するわけですが、世界の中で見ると、円は60人に1人程度しか使用しない通貨に過ぎません。

少子高齢化で、経済成長も見込みにくい国の通貨のみを保有するのはリスクになります。
今後は、米国ドルをはじめとした、成長の見込める国の通貨も保有して、通貨も分散するという考え方が必要です。

あるいは、金などの商品、または状況によっては暗号資産なども含めて検討するのも良いでしょう。
もちろん、だからといってすぐに金を購入しようとしても、今はかなり高額です。いきなりではなく、今後時間をかけて、少しずつ分散を進めていくと良いと思います。

○あくまで冷静に。冷静でいられないのは投資しすぎ?

資産運用するにあたり、こうした変動の激しい局面で大切なことは、何よりも冷静でいることです。
人間は損失を嫌う傾向があり、同じ金額の利益を得たときの喜びより、損失を被ったときのダメージを大きく感じます。
誰でも、自分の資産の評価が投資した額よりマイナスになるのは、気持ち良い物ではありません。

しかし、今回の様に、長期資産運用をする過程では、厳しい時期もあります。
もし今回の相場変動で資産が減り、夜も眠れないといったような状況なのであれば、それはリスクを取り過ぎているのかも知れません。投資はあくまで余裕資金で、自分が冷静でいられる範囲での運用をお勧めします。

ウクライナ危機対策~日常生活編

○SNSの情報の見極めが大事

こうした有事の際は、様々な情報がSNSで飛び交いますね。
私達は戦争当時国ではないですが、今回の戦闘は、SNSが広く普及してから初めての国家同士の本格的な交戦と言えるでしょう。
ニュースなど見ても、お互いの国が有利な情報を発信して、戦況を有利に進めようという意図がよくわかります。このように、様々な情報が錯綜する中、正しい情報とそうでない情報を見極めることが非常に大切だとわかります

一昨年コロナが始まった頃は、マスクやトイレットペーパーが不足という話が広がり、日常生活に大きな混乱が出ました。ドラッグストアに行列ができたりして、大変な騒ぎになりましたね。

今回も、資源不足、半導体不足などはあるものの、明日の生活にすぐ支障が出るというものではなく、明日からいきなり値上げというわけでもありません。安易にSNS等の情報に振り回されず、冷静に、少しずつ準備を進めていけばよいと思います。

○サイバー攻撃から身を守る

そしてこちらも気になるのが、サイバー攻撃が増えている事です。
3月頭には自動車部品メーカーのサーバーが攻撃され、トヨタ自動車の工場が1日操業停止となりました。この攻撃が今回の戦争の影響によるものなのか定かではありませんが、明らかにここ数日増えている気がします。

個人でできる対策として、会社のメールに来た発信元不明のメールを開封しない、外付けの端末を接続しないなど、基本的なルールの徹底が必要です。

また、大きな会社ばかりが標的とは限りません。自宅でも被害が出るケースも報告されています。
私はこの点は専門家ではないので詳しくはありませんが、家庭用ルーターでも、IDやパスワードを変える、ソフトウェアを最新のものを使用するなど、また個人の利用しているネットサービスも、IDやパスワードをマメに変えるなど、基本的な対策が必要になると思います。

コロナ発生の頃の不安とはちょっと違う?先を見込んで早めの準備!

ウクライナ危機は、仮に停戦が実現しても、これだけの破壊行為をしたロシアが、元通りの立場を維持し続けることはできません。一方で、仮にクーデターが起きてプーチンが失脚しても、世界経済は不安定な状態はしばらく続くでしょう。

今回の危機をきっかけに、今後世界経済の勢力図、更に地政学リスクの度合いも変わってくるように思います。その変化が起きることがあらかじめわかっているならば、準備しない手はありません。

コロナショックが起きはじめた一昨年の3月も、先行きの見えない不安に襲われました。しかし、その後2年経過し、ワクチンの普及など、新しい生活様式を取り入れながら克服の道を歩み始めています。

今回の危機の影響は長期化しそうです。しかし2年前、コロナという未知の病がまん延した頃の漠然とした不安よりは、先の見える不安が多く、予想できることも多いように思います。しっかりと準備をして、今後の変化を乗り越えられるようにしておきたいですね。

そして何よりも、多くの人が命を落とす今の戦闘を止めてもらいたいと思います。

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