空き家900万戸で過去最高~私たちにできる対策は?
先日総務省の調査で、全国の空き家が900万戸となり、過去最高となったことが発表されました。
空き家の数が増えていることは想像できますが、総住宅戸数の13.8%と聞くと驚きですね。
何と全国の7軒に1軒は空き家です。
また、過去5年間の空き家の増加数が約50万戸とのことで、このペースも急ピッチです。
空き家は地方だけの問題でなく、首都圏でも増加傾向にあります。
たとえば、23区で最も住宅の多い世田谷区も、5万軒の空き家があると言われています。
空き家は安全上の問題・防犯上の問題・地域の景観の問題など、様々な問題を引き起こします。
いよいよ避けて通れない社会問題になってきた感じです。
国の対策も決め手に欠けます
空き家対策については、国も自治体も様々な対策を取り始めています。
たとえば、昨年改正された「空き家対策特別措置法」。
それまでも、倒壊の恐れや環境上問題のある空き家を「特定空き家」として、撤去の代執行などを行っていました。
これに加え昨年の改正では、新たに「管理不全空き家」が新設され、特定空き家になるリスクがある場合、固定資産税の住宅用地の特例を解除することになりました。
これにより、固定資産税の減免措置が無くなり、一般住宅の6倍の税金が課されることになります。
そもそも空き家を減らすには、誰かに住んでもらうか取り壊すかしかありません。
誰かに住んでもらうのは今後人口減が進む日本では非常に難しい取り組みです。
魅力的なリフォームをして資産価値を上げるなど、各戸毎に丁寧な対応が必要でしょう。
また取り壊すにしても、戸建ての家の取り壊しには数百万円の費用が生じます。
空き家のために簡単に出費できる額ではありません。
自治体で補助を出す所もありますが、金額や条件も限定的です。
いずれにしても、多くの予算を割いた根本的な対策が必要だと思います。
いまも続く住宅の開発は本当に必要か
このように空き家の問題が深刻化する中でも、住宅の開発は進んでいますね。
都心の一等地や、アクセスのよい場所を再開発して、タワーマンションが建ち続けています。
また、住宅地で一定の広さの土地が売りに出されると、土地を区分けして狭小住宅が建てられることも多いです。
このように、投資効率の良いタワーマンションや、戸建てながら手の届く金額に設定される狭小住宅など、今販売しやすい住宅の開発が続いています。
しかし、こうしたタワマンや狭小住宅の開発は、本当に先を見据えた開発かと考えると疑問です。
40~50年もして世代が変わるころ、どの様な状況になっているでしょう。
投資効率が良いから、売りやすいからといった目先の理由だけで開発されているように思えます。
もちろん、限られた資産で住宅購入が必要な方もいるので、こうした住宅も一定数は必要でしょう。
しかし、特に狭小住宅に多い細かく区分された土地は、将来の資産価値も毀損します。
こうした開発に一定の制限を加える仕組みも、必要なのではないでしょうか。
また開発業者も、目先の利益でなく、数十年後の街の姿を見据えた開発に力を入れて欲しいと思います。
私達ひとりひとりができること
空き家問題に対しては、私たち一人一人にも出来ることがあると思います。
まず、現在空き家を所有する人は、その処分を進めること。
需要の低い地域であれば尚更、時間の経過とともに資産価値も下がり、処分は難しくなります。
出来るだけ早い段階で対策に着手することをお勧めします。
相続登記がされておらず所有者不明の住宅がある場合、まずその所有者を明らかにすることです。
司法書士などの専門家に依頼して登記簿を確認し、過去に遡って相続手続きを進める必要があります。
手続きには労力と一定の費用を要しますが、問題を先送りしても良い事はありません。
これから空き家になるリスクのある住宅がある場合も、早い段階で計画を決めておきたいところです。
実は私の実家も、約50年前に建築士の父親が設計して建てた家です。
その父が5年前に亡くなり、今は母親が一人で住んでいますが、1人では広すぎる戸建ての家です。
当面このままですが、私が将来住むには不便な場所なので、空き家になるリスクがあります。
今後私自身も向き合わなければならない問題だと思っています。
早い段階でマンションの購入を検討するなど、事前に取れる対策はあったかもしれません。
築年数の経つ実家がある場合、その将来について、早い段階で家族と話し合いをしておくことが大切だと思います。
空き家はマイナスの資産
空き家は将来の街の姿も変えかねない、深刻な社会問題です。
私もFP相談の一環で、空き家の相談に関しては、空き家再生を手掛ける業者等と提携し、適切な処分方法をご紹介しています。
空き家の存在は固定資産税や管理の負担が生じるなど、マイナスの要素が多いです。
どこに相談したら良いかわからないので、長く放置することになったという方も多いでしょう。
しかし、時間の経過で状況が良くなることはありません。
もし空き家の処分に困っている、または所有者が不明で困っているというケースがありましたら、お知らせください。
提携する専門家と連携して、解決方法を探っていきたいと思います。
ゴールデンウィークで、実家に帰省したり、親と話したりする機会があった方もいらっしゃると思います。
その実家が、将来どのようになるか想像できるでしょうか?
もし家族が空き家を所有する場合、あるいは築年数の長い住宅を所有している場合、今後どのように対応していくのか、今度ご家族が集まる機会に話し合ってみてはいかがでしょうか?
まずはご家族の意向を確認しておくことが、空き家を減らす第一歩になるのではないかと思います。