Withコロナ時代「資産寿命」を延ばす3つのポイント
資産寿命とは?
昨年は「老後2000万円問題」が話題になりました。今となってはコロナウイルスの問題で話題に上る事も減りましたが、経済・社会情勢の大きな変化で、資産を減らしたり、今後の収入が減少したりする人が増えています。今後のライフプランの上でも大きな影響が出ており、昨年よりも資産形成について考える必要性がはるかに高まっていると思います。
私は老後資金の相談の際、ご希望する方には、自分の資産が枯渇する年齢である「資産寿命」の計算をしています。将来に渡ってそのご家庭の年毎の収支の見込みを計算し、表にまとめていくと、最終的に資産が枯渇してしまう年齢がハッキリと出てきます。これが「資産寿命」と言われるものです。100歳以上になれば良いのですが、中には70代、80代で枯渇してしまう人もいらっしゃいます。そのような方に対しては、資産寿命を延ばすために、出費を減らして収入を増やす策を一緒に考えるわけです。
さて、その資産寿命を延ばすために、Withコロナの時代にはどの様な点をチェックしたら良いでしょうか?以下にポイントをお伝えしたいと思います。
資産寿命を延ばす3つのポイント
○家計の固定費の見直し
緊急事態宣言下での生活スタイルの変化で、家計にも大きな変化が出ているかと思います。しかし、日常の食費が増えたとか、在宅勤務で必要になった備品の購入等は短期的な問題なのでさほど気にする必要はありません。それよりも、固定費として定期的に天引きされる電気・ガス代・携帯代・保険料、あるいは各種会費などは継続的に影響しますので、削減できるものは削減することが必要です。また、住宅ローンも最近は低金利なので、見直す余地があるかも知れません。仮に月1万円の削減でも年間12万円、10年間であれば120万円の負担減となり、大きな金額となります。
○長期的な資産運用を
家計資産のほとんどが普通預金や定期預金であるというご家庭も多いです。今は収入減や急な出費に備えて一定の現預金を確保することも大切ですが、一方で経済の停滞で当面低金利の続くことが予想されます。預貯金にも利子はほとんど付きませんので、お金を運用するという考え方も必要です。
かといってコロナの影響で経済情勢も不安定な中、運用は不安だという声もあります。ここでお勧めする方法は、リスクを抑えて、しっかりと投資先を分散して、長期的にコツコツと取り組む方法です。手数料の安いインデックスファンドで毎月可能な額を積み立てて行くだけでも、仮に年3%(税引後)の運用が出来れば、毎月1万円の積立運用は10年後に約140万円となり、銀行預金に預けている場合より約20万円も増加することになります。最近はNISAやIDeCoといった非課税の投資制度も普及して、口座も開設しやすくなっています。
○長く働ける準備を
コロナの影響で企業の業績も下がる中、生涯の収入増を目指すには、長く働くという考え方が必要です。
しかも、できたら現在の会社以外で活躍できるスキルを身につけることが大切になりそうです。
特に50代に入ると、順調に昇進をしている人以外は、現在勤める会社で収入やキャリアを伸ばすことは難しくなります。
できるだけ早い段階で、次のキャリアに備えて準備をしておくことが、長く働く上で大切になるでしょう。
もちろん、健康に留意することも大切です。
以上が資産寿命を延ばすために取り組むと良い3つのポイントになります。
特別な事をする必要はありません
逆に、老後の資金を確保したいと思い、詳しく調べることもなく焦って金利の高い運用商品に飛びついたり、不動産投資を始めたりするのは避けた方が無難です。金利の高い運用商品は必ずリスクを伴いますので、資産寿命を延ばすには不確実性が高すぎます。また家賃収入を見込んだ不動産投資も、経験のある方であればよいですが、初心者にとって今は始める時期ではありません。これだけテレワークが進み、都心の不動産需要ですら今後不透明な中、投資目的で不動産を購入するのはリスクが高いでしょう。
このように、新型コロナウイルスの影響で経済情勢は大きく変わりました。しかし、先の不透明な世の中になったからと言って、特別な事をする必要はありません。家計収支をもう一度見直したり、資産運用を検討したり、将来の働き方について考えたりするといった基本的なことが、将来の資産寿命を延ばすことにつながります。
不自由な事も多い日々ですが、在宅の時間も増えてきていると思います。夏休みも間近なのに今年は思い切って出掛ける気分でもありませんので、その時間を生かして資産寿命を延ばす取り組みをスタートしてみてはいかがでしょうか?