今からでも間に合う?ゴールデンウィークの旅の計画と、コロナ後の新しい旅のカタチ
今回はいつもと雰囲気を変えて、「旅行」がテーマです。
旅行会社での勤務経験もあるので、今はFP業務の他に副業として、旅行代理店からの業務委託で旅行手配などの仕事もしています。
今でこそ個人旅行はインターネットでの手配が主流ですが、インターネットの利用が苦手な高齢者や、職場や組合等の団体旅行など、旅行手配をお手伝いさせていただく場面も結構多いものです。
また、本業のFP相談でも、家計の出費について伺うと、旅行の費用を見込んでいる方が多いです。
特に年末年始や大型連休はご家族で旅行に行ったり、遠くの親類に会いに行ったりするのに良い機会ですね。
特に実家が遠方の方などは、ライフプランにも是非組み込んでいただきたい項目の一つです。
その様な意味でも、最近の旅行の動向について確認しておくことは、ライフプランの上でも役に立つと思います。
そういうわけで、もうすぐゴールデンウィークでもあり、今回は旅行業を副業にするFPが、今年のゴールデンウィークの旅の動向と、コロナ後の新しい旅のスタイルについて確認していきたいと思います。
今年のゴールデンウィーク・国内旅行を計画する人は過去最高に
今年のゴールデンウィーク(以下GW)は、5月1・2日の平日を休むと9連休となり、曜日の並びが良いとされています。
このような曜日の並びが良いGWと言って思い出すのは、平成が令和になった2019年のGWです。
この時は改元日が祝日となり、その前後も含め10連休という超大型連休となりました。
JTBの調査によると、この年のGWは、海外旅行に92万人もの方が出掛けていたとのことです。
一方で今年は、まだ新型コロナの影響が残っている上に、先進諸国で進むインフレに円安、そしてウクライナ情勢等の影響があり、海外旅行を計画している人は20万人程度にとどまっているようです。
海外旅行にもっと多くの方が出掛けるようになるには、もう少し時間がかかりそうですね。
その様な事情もあり、曜日の並びが良い今年のGWでも、多くの方が国内旅行を計画している様です。
先のJTBの調査によると、今年のGW(4月25日~5月5日)の間に、1泊以上の国内旅行に行く、または行く予定と回答した人は、2450万人に登り、1969年の調査開始以来最高を記録しているとのことです。
この調査は3月に実施されたものなので、実際は更に多くの人が旅行にでかけるかも知れません。
この様な状況から、どの地域も混雑が予想され、また移動や宿泊の費用も高額になっています。
しかしそれでもせっかくのGW、少しでも工夫して快適に旅行をしたいですね。
また、コロナ禍の間に、旅行の手配のスタイルも大きく変わりました。
では、久しぶりの旅行の計画にあたり、どの様な点に気を付ければよいのでしょうか?
新幹線・JRは必ず事前にネットで予約・購入を
GWの旅行で、新幹線など鉄道を利用する方は多いと思います。
今年のGWのJRの座席指定数は、コロナ前の2018年の92%と、こちらもほぼコロナ前の水準に戻しているとのことです。
この新幹線も混雑が予想されるので、できれば指定席を確保したいところです。
新幹線のチケットは、以前は駅で購入するのが普通でしたが、ここ数年でインターネット予約が急速に広まりました。
ホームページですべての列車の空席状況を確認でき、列車や座席の指定までできるので、とても便利です。
そして手元のSUICA・PASMOなどのICカードに乗車券・特急券情報を登録すれば、チケットレスで乗車可能です。
また、ICカードを持たない場合は、駅の自動指定席券売機で、チケットを発行する事も出来ます。
これまで新幹線等JRのチケットは、シーズンによる料金差は数百円程度でしたが、インターネット予約では割引運賃も設定されています。
今年のGWの割引運賃はもう少なくなっていますが、それでも5月1・2日の平日や、早朝便・深夜便などを探すと、まだ残っているものもあるようです。
この様にインターネット予約が普及してきた今、チケットを駅の窓口で購入することは避けた方が無難です。
JR各社では、ここ数年で駅の窓口業務を大幅に縮小しています。
特に金曜日の夜や週末などは、駅の窓口が大行列になっていて、切符を買うのに1時間もかかるという事もあります。
当日購入しようとしても、希望の列車に間に合わなくなる恐れもあります。
JRの指定券は、必ず事前に購入しておくことをお勧めします。
航空券の「ダイナミック・プライシング」は本当にダイナミック
GWに飛行機での旅行を計画している人は、もうすでに予約を済ませた方も多いかもしれませんね。
現在国内線の航空券は330日前から予約できます。
どうしてもチケットを確保したいという方は、今から年末年始のチケットを確保している方もいるようです。
では今年のGWはもう手遅れかと言うと、そうでもありません。
長期の連休のため分散しているのか、混雑はしているものの、ピークの時間帯も含め、まだ空席のある便もあるので
今から計画する事も十分可能かと思います。
なお、航空券の手配で気を付けたいのは、最近の航空券運賃は定額ではなく、混雑状況により変動する設定になっている点です。このように、需要に合わせて料金を変動させる仕組みは「ダイナミック・プライシング」と呼ばれ、ここ数年で導入が進んでいます。
例えば、東京ディズニーリゾートも、シーズンにより料金が変動するようになりましたね。
航空券の場合は、この変動幅が更にダイナミックになっています。
一例として、5月3日に東京から札幌に飛行機で行く場合、羽田-新千歳間のJALの運賃を見ると、
今(4月15日現在)確保できる運賃の場合、
10時30分発:41077円 18時35分発:22580円
と、時間帯によって、2万円近くも差があります。
また、例えば5月6日に札幌から東京に帰る場合でも、同じJALの5月6日の新千歳―羽田間は、
18時発:41077円 8時発:22580円
と、こちらも同様の運賃設定となっています。
この運賃は、その便に特別に設定されたものではなく、いずれも同じ種類の往復運賃(往復セイバー運賃)です。
あくまで4月15日現在の運賃で、今後の予約状況により変動することもありますが、運賃はあくまで予約日の料金が適用されます。そして予約後は、直前予約の場合を除き、72時間以内に発券が必要です。
このように、航空券運賃は、「ダイナミック・プライシング」により、変動するケースが非常に多くなっています。
早いタイミングで予約発券をしても、その後運賃が安くなっていたという事も良くあります。
消費者にとってはわかりにくい設定かも知れませんが、その点十分理解した上での利用が必要です。
一方でこの「ダイナミック・プライシング」により、多くの運賃が設定されるようになりました。
既に終了しましたが、JALでは4月6日~8日に国内線航空券が6600円から予約できるセールが実施されていました。GW予約分は終了しましたが、今後こうしたキャンペーンは随時実施されるようです。
この様に、航空機の場合、特に連休の時期は日程や時間を少しずらすことで大幅に運賃も変動します。日程ありきではなく、計画は柔軟に立てていくことをお勧めします。
また、先ほどはJALの例を出しましたが、この他にもLCC(ローコストキャリア)のジェットスター・ピーチなど、運賃の安い航空会社が路線を増やしています。成田空港の発着・手荷物の重量制限など利用の制約もありますが、その分安い運賃が設定されています。条件が合えば利用を検討してみるのも良いかもしれません。
車の移動は時間をずらして渋滞回避
マイカーで出掛けるのは、特にお子様のいるご家庭では便利で安心ですね。
距離的には移動できる範囲に制約はありますが、コスト的には、家族分の運賃・料金を支払う新幹線や航空機を利用するよりも割安になります。
一方でマイカーの場合ネックになるのは、何と言っても渋滞です。
特に都心から地方に延びる高速道路の場合、連休前半の午前中に上り線が・後半の午後に下り線が数十キロにわたる大変な渋滞に見舞われます。
この渋滞を回避するには、何よりも出発は早朝または夕方以降、帰りは午前中の利用がお勧めです。
なお、今年のGWは日数があるので、通常の週末よりは分散する傾向があります。
最もピークになる29日や3日の午前中の下り線や、5日・6日の午後の上り線を避ければ、ある程度渋滞も緩和するでしょう。
また、大型連休の最終日上りは渋滞が少ない傾向があります。連休を目いっぱい楽しんで、7日の夜に帰ってくるのも一つの手かもしれません。
また、GW期間中は高速道路のETC休日割引が適用されません。
この期間でも割引を適用したい場合は、ETC深夜割引の利用は可能です。
深夜割引は、午前0時-4時の間に1分でも高速道路を利用していれば割引が適用されます。
例えば、東名高速道路の東京ICから名古屋ICまで、ETC利用の料金は7320円ですが、深夜割引を利用すると5120円と、約30%引きとなります。
この距離の場合割引額は2200円ほどですが、遠距離であれば割引額も大きくなりますので利用価値があります。
いずれにしても、連休中は慣れない長距離運転で事故も多くなりますので、気を付けたいところです。
宿泊施設は空前の人手不足
さて、新幹線や航空券の手配より難しいのが、宿泊手配ではないかと思います。
今年のGWは過去最大の旅行者で、旅館等も売上増加で大喜びかと思いきや、とてもその様な状況ではありません。
いま多くの宿泊施設や観光施設を悩ませているのは、「人手不足」です。
宿泊業などサービス業は、コロナ禍の利用者数減少により、多くのスタッフを削減しました。
そしてコロナも落ち着き、旅行支援策などもあり旅行需要は急速に回復してきましたが、旅館ではその旅行者に対応するスタッフは不足したままです。特に地方でこの傾向が顕著の様です。
実際に利用する際も、スタッフの数が不足していて、チェックインの際に行列になって待たされたり、食事の際もなかなか次の料理が出てこなかったりといった事が想定されます。
GWは割引施策も無いので、利用者にとってみれば、通常期より高い料金を支払って、普段よりサービスの質が低下することになってしまうわけです。
そのため、例えば温泉旅館なのに、料理なしの素泊まりで販売されているケースも多く見かけます。
料金もGWでそれなりの金額なので、食事付きと見誤らないよう、手配の際に注意が必要です。
とは言っても、もちろんすべての宿泊施設がそういう状況とは限りません。
予約数を絞るなど、サービスの質が低下しないよう運営しているところもあります。
宿泊施設の方もコロナ禍で苦しんできました。そして需要が回復した今は、人手不足の中でも一生懸命サービスを提供しています。仮に多少並んだり、食事の出るのが遅かったりしてもイライラせず、今はそういう状況なんだなと、理解した上で利用するのが良いかもしれません。
その様な状況から、空室も十分残っていますが、好条件の宿泊先を手配するのはなかなか難しそうです。
それでも手配をする場合は、旅行サイトの割引クーポンやキャンペーンを活用することで、割引を適用できます。
例えば、大手旅行サイト「じゃらん」では、4月17日までスペシャルウィークを実施しています。
また、「楽天トラベル」は、5と10の付く日は一部の温泉旅館が5~10%割引で手配が可能です。
旅館やホテルの空き状況や料金にも、さきほどの「ダイナミック・プライシング」が適用されています。
随時空き状況をチェックして、少しでも良い条件の宿泊先を見つけていただくと良いと思います。
GW後に検討したい新しい旅のスタイル
このように、特に今年のGWはかなりの混雑が予想されます。
一方ではコロナ禍を経て、GWや夏休み・年末になど混雑を避けた時期を避けて、旅を楽しむスタイルが増えています。
コロナ禍に広まっている旅のスタイルのとして、以下の様なものが挙げられます。
〇スタイル1「ワーケーション」
オンラインで仕事ができる場合は、1週間程度リゾートホテルなどに滞在して仕事をするという方も増えています。
平日利用なので料金も安く、空いていて快適に過ごすことが可能です。
また、GWやお盆・年末年始に里帰りする場合でも、混雑する時期の移動を避けて、テレワークしながら2~3週間程度長期滞在するという方もいらっしゃいます。航空券等は安く手配が出来るので、旅費を減らすことも可能です。
勤務先の規定や業務内容によっては難しい面も多いとは思いますが、環境さえ許せば一度挑戦してみても面白いかもしれません。
〇スタイル2「キャンプ」
キャンプはコロナ禍で密を避ける旅行スタイルとしてブームになりました。
その際にキャンプ用具一式をそろえた方が、大型連休問わず普段からキャンプに出掛けています。
特にお子様のいる家庭ではご家族分の宿泊費の負担が減る分、低コストで旅行に出かけることができます。
GWもキャンプや車中泊をしながら多くの観光地を巡るという方も増えてきているようです。
〇スタイル3「ひとり旅」
こちらもコロナ禍で広がった旅のスタイルです。独身の方、子育ても一段落した方などを中心に、一人旅を楽しむケースが増えています。
旅館などでも一人旅のプランを多く販売するようになりました。以前は一人での利用などは不可という宿泊施設もありましたが、今は多くの施設で利用できるようになりました。
旅のスタイルも、車中泊しながら車であちこち周遊するケース、1か所の旅館に何泊も滞在するケース、ふらっとソロキャンプに出掛けるケースなど、各自の趣向に合わせて様々です。
GWも良いけれど、ピークを避けて落ち着いた時期の旅行も是非
このように、コロナ禍を経て旅のスタイルも様々になりました。
いずれにしても、大型連休など混雑する時期を避けることで、コストも快適性も大きく変わります。
また、大型連休以外でも、お子様がいるご家庭は制約がありますが、これまで土日にしていた旅行を、例えば金~土曜または日~月曜と1日ずらすだけで、混雑状況や料金も大きく変わります。
今年のGWはもうすぐですが、GWが終わっても、行楽シーズンはまだまだ続きますね。
もちろん、GWなど大型連休にご家族そろって遠方に数日間旅行するのも、楽しいイベントです。
一方で、旅行はいつも連休ばかりという方は、短い期間でも、混雑する時期を避けた旅行を検討してみてはいかがでしょうか?より良いサービスがリーズナブルな料金で利用でき、連休とはまた違った、充実した旅行が出来るかもしれません。