50代・単身者のライフプランニング相談で気になること

最近は50代単身者のご相談が、男女問わず増えてきています。
もっとも、50代の単身者の人数自体が増えているということもあるでしょう。
「生涯未婚率」という統計が国勢調査を基に算出されています。
この数値は50歳時未婚率ともいわれており、45-49歳と50-54歳の未婚率を平均した数値で算出されます。
それによると、2020年は男性25%・女性の16%となっているそうです。
男性で4人に1人、女性で6人に1人が未婚となっています。
この数値は年々増加しており、これからも50代以上の単身者の割合は増えていきそうです。

私が受ける50代単身者のご相談は、新卒から長年会社勤務をしている方が多いです。
この年代だと先々のキャリアも見えてくる頃で、退職後を意識して不安になる方が多いようです。
そして、じっくりお話を伺うと、この様な方に特に多いライフプランの問題点が見えてきました。

今回は、私の個人的な印象も含まれますが、50代単身者がよく抱えているライフプランの課題点について、いくつか挙げてみたいと思います。

 

持ち家が無いか、実家を相続予定

総務省の「住宅・土地統計調査」では、世代別・家族状況別の持ち家率が発表されています。
それによると、40代後半~50代前半のうち、子供のいる世帯の持ち家所有率は約75%、夫婦のみ世帯でも50%であるのに対し、単身者の持ち家率は30%を割り込んでいます。
一部には将来を考えて、単身でも住宅を購入している方もいらっしゃいますが、まだ少数派のようです。
そして多くの方は、実家があり、将来はそこに住むと漠然と考えている方が多いようです。

最近のご相談でも、将来は実家に住むとお話しした方の実家は、築40年以上の戸建て住宅とのことでした。
郊外にマイホームを建てる方が多い時代だったので、そのような方も多いでしょう。
あるいは、地方の実家で、それ以上の築年数で、大家族が住める大きな住宅であることも多いです。

しかし、現在は平均寿命も延びて、90歳、場合によっては100歳までも生きていく時代。
数十年後に、既に築年数が40年といった戸建て住宅に暮らしていくことは現実的ではありません。
少なくとも建て替えや、大規模リフォームが必要になるでしょう。
そうすると数百万円、または一千万円以上の出費が必要になります。
更に戸建て住宅は、固定資産税や光熱費なども高額になるものです。庭があれば草木の管理も一苦労です。

また、実家が無い方や、あるいは戻る予定がない方もいらっしゃいます。
これから先ずっと賃貸で済み続けるのも大変です。
継続的に発生する家賃は老後資金を恐ろしいペースで減らしていきます。
また高齢になると賃貸契約も難しい場合があり、住み替えも自由にできなくなります。

このように、まだ将来の住む場所がまだ漠然としている場合は、自分の住み続ける場所について、経済的見通しも含めて、早い段階で様々な角度から検討しておくことが必要になります。

 

銀行預金か貯蓄型の保険で資産形成している

50歳前後の方は、社会人になった頃はバブル崩壊の後で景気が悪い時期でした。
不動産でも株式でも、投資家は大きな損失を抱え、投資は損をするものという考えが広まっていました。
その後も失われた20年とか30年などと言われ、経済成長も低迷したまま社会人時代を過ごしてきました。
それでも、平成の初期頃は預金金利が高かったため、定期預金や終身保険・年金積立などをしていればある程度の資産形成は可能でした。
そのような状況から、この世代はほぼ投資をしておらず、銀行預金や貯蓄性保険で着実に資産形成をするという考え方が根付いているようです。

そして、50代まで正社員で、単身なので教育費もかからず、ある程度の貯蓄を確保している方が多いです。
住宅ローンを組んで教育費も必死で支払ってきた子育て世代とは、家計管理の緊張感は違います。
それほどお金のやり繰りに困ったという経験も少ないです。

しかしご承知の様に、昨今の日本は超低金利が長く続き、貯蓄や保険では資産形成できません。
更には、物価上昇や円安の流れも出てきて、手元の円預金はどんどん価値が下がるという時代です。
さすがにこのままではまずい、何か対策を取らないと、と考え始める方が多い様です。

そこで、投資や運用経験が少ないため、金融機関から勧められた投資信託や外貨保険、あるいは知り合いの保険会社に勧められた変額保険などを、勧められたまま契約しているケースが多く見受けられます。
しかし、こうした商品は手数料が高いことが多く、効率の良い運用ができません。
特に単身者は、よほど相続税対策をする場合でもない限り、保障のある変額保険で運用する必要性は低いでしょう。

50代単身者は、今後も生計を1人で立てていく必要があります。
更に、先ほどの住まいの問題などもあるので、資産形成において少しも無駄をすることはできません
今後は、金融機関に頼らず、自分の責任において、インターネット等を活用して効率の良い運用をするというスタイルが必須になってくると思います。

 

医療や介護の備えが必要・お一人様対策

そして将来必ずと言っていいほど出てくる問題は、介護や認知症の問題。
自分の体が自分自身でままならなくなったときの対策です。
兄弟などいればある程度頼る(というか頼らざるを得ない)こともできますが、
そうでない場合は早い段階で準備をしておかなければならない問題です。

・自分が介護状態になったときに、どのような施設に入所するか
・親類など、サポートを受けられる人はいるのか
・意志表示ができなくなったときのために後見契約をどうするか
・死後の手続きを信頼できる人に委任しておく
といったことを考えておく必要があります。

そして、こうした対策にはどうしても費用も発生します。
配偶者や子供がいる場合よりも、多くの準備をしておく必要があります。
金額は人それぞれですが、少なくとも、500~1000万円程度の資金を、生活資金とは別に準備しておく必要があると思います。

この世代の親御さんは80歳前後となるので、介護が必要とか、認知症になっているという方もいらっしゃいます。
30年後自分がそうなったときに、どの様な状況になるのか、想像しながら検討するのも良いでしょう。

 

50歳は人生の折り返し地点

50歳というと社会人経験も30年近くなり、定年を意識してくる頃かも知れません。
会社員生活としては終盤戦突入といったイメージでしょう。
しかし、今は人生100年時代。よく、「そんなに長く生きたくない」という声も聴きますが、
90歳や100歳まで長生きする人も珍しくない時代です。

長く会社勤めをしてきた方ほど、定年後の人生も漠然としている方が多いようです。
一方で、やりたいことがたくさんあるという人もいますが、そこにもある程度の経済的準備が必要です。
50歳は、100年人生と考えたら、まだまだ人生の折り返し地点に過ぎません
今後のライフプランを様々な角度から考えて、早い段階で必要な準備に取り掛かることをお勧めします。

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