少しでも有利で安全な資産の預け先

最近は資産運用しましょうという声をあちこちで聞くので(私もあちこちで話すので・・汗)、新たに株式や投資信託などで運用を始めたいというご相談が増えています。

一方で、直近で使う予定のある資金など、中には資産運用に向けない方が良い資金もあります。また、資産を絶対に元本割れさせたくないという方も一定数いらっしゃるようです。

そのような場合、普通預金や定期預金に預けておく以外に、安全で確実な、かつ少しでも利息の付くような資金の置き場所はないかと言うご相談が増えてきています。

今回は、ある程度まとまったお金を、元本割れのリスクなく預ける方法についてお話ししたいと思います。

 

2~3年以内に使う可能性のある資金は「運用」でなく「確保」を

一般的に、資産運用は長期・分散をすることで成功の確率が高まると言われています。

例えば、NISA口座を開設して投資信託等で運用するにしても、2~3年といった短期間では、経済情勢の変動で資産を大きく目減りさせてしまう可能性もあります。

特に最近はコロナ後に株式相場が上昇をし続けてきたこともあり、今後の相場変動も不透明な部分が多いでしょう。運用は長期的に(少なくとも5年以上を目安に)取り組むことを前提に考えた方が、成果の上がる可能性が高くなります。

したがって、以下のような資金は、「運用する」よりは、「確保する」という考え方で準備する必要があります。
・直近で必要になる子どもの進学費用
・高齢(80代以上)の親の介護費用
・家の購入の自己資金分
・車や家電・旅行等大きな買い物の資金で、2~3年以内に使うもの

こうした数年以内に必要となる資金は、リスクのある運用に回さず、「確保資金」として管理する方法をお勧めします

また、この「確保資金」は、絶対に元本割れさせたくない、と考える方の資産管理方法にもなります。
当面使う資金もないし、老後の資金も十分あるので特に不安が無い、リスクを負って運用する必要もないという場合は、運用で増やすよりも今ある資産を守る、という考え方をするのも良いでしょう。

預金保険制度(銀行が破綻した時などに預金が保障される仕組み)の対象となるのは元本1000万円とその利息までのため、それ以上の金額を別の金融機関を分散させてリスク回避する場合にも活用できます。

また、高額の預金を預けていると、その金融機関から手数料の高い金融商品を勧められる場合もありますが、預金先を他の金融機関にも分散することで、そのようなリスク(?)も減らすこともできます。

ではそのような「確保資金」の預け先として、具体的にどの様なものが考えられるでしょうか。

 

「確保資金」の預け先1~利率の高い定期預金

安全な資金の預け先として定期預金があげられますが、最近では大手メガバンクの定期預金の利息も0.002%などと、ほとんど利息が付きません。1000万円預けても、1年間で160円程度の利息です。

もちろん、このような場所でも良いのですが、インターネットや、店舗を持たない銀行を利用することで、わずかですが高い金利で預けることができます。

たとえば、オリックス銀行のeダイレクト定期預金では、100万円以上預金した場合、期間1年で0.12%、3年で0.20%、5年で0.23%の金利となります(2021年4月現在・税引き前)。ここで1000万円を3年間預けた場合の利息は約47810円、5年間だと91630円となります(税引き後)。

この定期預金に預けるだけであれば、必ずしもインターネットが利用できなくても、電話などで申し込みができますので、高齢者なども利用しやすいです。

振込の際に手数料(大手銀行から他行へ3万円以上の振り込みをする場合880~990円程度)が発生しますが、まとまった金額を一定期間預ける予定であれば、利息で十分吸収できるでしょう。また、引き出す際に他行に送金する際は、月に2回までは手数料が生じません。

オリックス銀行以外でも金利の高い銀行はあるので、インターネットで検索しても良いかもしれません。但しその際はどのような商品であるか、また金利の適用期間や利用条件はどうか、しっかり確認する事が大切です。

例えば検索をすると、1%とか3%とか、中には7%といった高い金利が目を引くことがあります。そのような商品は預金でなく、不動産投資やリスクの高い運用商品である場合もあり、元本保証ではないので注意が必要です。

また、金融機関のキャンペーンで、例えば、キャンペーン金利1カ月物1%の定期預金などと言う場合は、2カ月目には利率の低い店頭表示金利に戻ってしまいます。また、抱き合わせで当行所定の(手数料の高い)運用商品を購入することが条件などと言う場合もあります。このように、適用条件をしっかり確認する事も必要です。

 

「確保資金」の預け先2~個人向け国債

もうひとつ、安全な預け先、と言うよりも、安全な商品として「個人向け国債」があります。個人向け国債は、日本国が発行する債券です。国が発行するのでリスクは少なく、1万円から、基本的に毎月いつでも購入できます

多くの銀行や証券会社で購入できるので、新たに口座を開設しなくても、現在取引のある銀行でも購入できます。購入時に手数料が必要な金融機関はほとんどありません。ただし、口座管理手数料(ある大手銀行の例だと残高1000万円未満の場合で年間110円)を徴収する金融機関もありますので、その点は確認が必要です。

運用期間(償還期間)別に利率が設定されており、2021年4月現在、固定3年・固定5年タイプは年0.05%、変動10年は0.08%となります。こちらの利息は半年毎に支払われる方法で受け取れます。

例えば固定3年または5年で1000万円購入した場合、半年毎(購入月の半年後の15日)に1992円の利子が受け取れます(税引後)。1年以上経過すれば途中解約も可能ですが、満期前の解約の場合は直近2回分の利子が差し引かれます。

なお、個人向け国債を始める際は、金融機関によってはキャンペーンを随時行っているので、そのキャンペーンに乗っかるのがお勧めです。

例えば、ある証券会社では4月中のキャンペーンとして、変動10年国債を1000万円購入の場合14000円、固定5年国債の場合11000円キャッシュバックするというキャンペーンを行っています。固定5年の場合、半年毎の利率は先ほど計算した1992円(税引後)ですから、かなり大きなキャッシュバックと言えます。

ただし、こうしたキャンペーンも、新たな口座開設を勧める販売促進キャンペーンのため、申し込みと同時に他の手数料の高い金融商品を勧められることもあります。特に金融機関窓口で手続きをする際は注意が必要です。

 

「確保資金」はしっかりした計画のもと、安全な預け先に

このように、ライフプランの中では、直近で必要となる資金も多くあります。こうした目的の決まっている資金は、リスクある資産運用に向けない方が無難です。

もちろん、今回ご紹介した定期預金や個人向け国債も、銀行の破綻リスクや、国の破綻リスクを考えたら、リスクが完全にゼロとは言えません。しかし、一定の期間必要な資金を確保したり、資金の預け先の分散をしたりするには、このような安全性の高い定期預金や個人向け国債が、有効な方法になるかと思います。

将来の事を考えると、資産運用に取り組むのはとても大切なことです。ただし、何もかも運用ではなく、直近で必要になる資金は、ご自身のライフプランを確認したうえで、元本保証の「確保資金」で準備しましょう。そして残る資金を運用に回すという様に、計画的に資金を振り分けする事をお勧めしたいと思います。

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