こんなに超高齢化が進んでも、年金は受け取れる?
平均寿命が過去最高を更新!
厚生労働省から2019年の簡易生命表が発表され、日本人の平均寿命が女性87.45歳、男性81.41歳となり、ともに過去最高を更新したことがわかりました。日本人の平均寿命はここ数年確実に伸び続けています。
その様な状況から、ここ最近のFP相談の内容も、最も多いテーマの一つが「老後資金」に関するものになっています。
というより、多くのご相談が、結局老後の資金は足りるのか、という問題に行きつくので、当然かもしれません。
先日、お子さんを私立に入れて大丈夫かというご相談の方がいらっしゃいましたが、その件も、老後に資金不足に陥らないかという心配からくるものでした。
老後資金への関心が高まりから、資産運用などに取りかかる方も増えています。しかし、老後資金準備にあたり、まず最初にやるべきことは、「自分がどのくらい年金を受け取れるのか」を確認する事だと思います。
もちろん皆さんもうっすら認識している通り、残念ながら老後を公的年金だけで暮らすのは難しい状況です。それでも多くの方にとって、年金は老後の生活の基盤になる収入源なので、どの程度受け取れるかは、ある程度把握しておく必要があるでしょう。
年金額を確認する方法はいくつかありますが、その前に、これだけ少子高齢化が進んでいるのに、そもそも私達の年金は果たして本当に受け取れるのか、という事も気になりますよね。まずはその点のお話をしたいと思います。
そもそも、年金はちゃんと受け取れるのか
こんなに平均寿命が伸びて、少子高齢化が進んでたら年金なんて受取れないんじゃないの?と言う方もいますが、その様な事はありません。まず大前提として、自分で支払った年金は自分が将来受け取るのではなく、現在の高齢者に支払われる「賦課方式」が取られています。そして支払われる年金額も、今日発表された簡易生命表のデータを参考に今後の人口を予測して、年金の収支の見込を常に計算しています。更に、物価の変動に合わせて年金額を変動する仕組みも導入されています。そして多くの方が支払った年金保険料は、年金積立管理運用独立行政法人(GPIF)管理の下、約170兆円という規模の額が運用され、ここに国からの財源を加えて、受給者に支払われています。
このように、年金制度は人口変動や物価変動などを計算して綿密に設計されていますので、日本が破綻しない限り、年金制度が破綻することはないでしょう。
ただし、今後支給開始年齢が上がったり、受給額が減らされたりする事は十分考えられます。しかし、その変化も急激に起こる事はありません。たとえば、現在の40代以下の人は年金を受け取れるのは65歳以降ですが、以前は60歳支給開始でした。ではこの変更はいつ行われたのでしょう?実は、今も段階的に行われている最中です。
男性は昭和16年~36年生まれの人、女性は昭和21年~41年生まれの人の年金支給開始年齢は、年齢によって60歳から65歳までばらつきがあります。たとえば、昭和30年1月1日生れ(現在65歳)の方の年金受給開始年齢は、男性の基礎年金部分が65歳なので今年から、報酬比例部分は61歳からでした。また女性の基礎年金部分が同じく65歳から、報酬比例部分は60歳からでした。そして、年齢が若くなるごとに、報酬比例部分が65歳支給開始の厚生年金となるまで、順次繰り下げられる仕組みになっていて、男性は昭和36年4月2日以降、女性は昭和41年4月2日以降生まれの人から、完全に65歳からの支給となります。
このように、今後も年金制度の変更があったとしても、わずかな年齢の違いで極端な差が出ないよう、何年もかけてゆっくり行われるはずです。したがって、自分の受け取る年金の受給開始年齢や受給額などについては、年に1回程度でも最新の情報を確認していれば十分でしょう。このように、年金はしっかり設計された制度なので、受け取れなくなる心配をすることはありません。
では、実際に受け取れる年金額を確認したい場合は、どのようにしたら良いでしょうか?
ちょっと長くなってきたので、年金の受取額の確認方法については、次回お伝えしたいと思います。