2022年もお世話になりました~益々混沌とする世の中で、今年多かったご相談は?
早いもので2022年も残すところあと1日となりました。
この時期はやはり1年を振り返ることになるわけですが、昨年の同じ時期のブログを振り返ると、この様な事を書いていました。
「これほどまで世界の経済・社会の動きが家計を直撃することは、なかったように思います。世の中の変化のスピードも速まるばかりです」と。
この文章、今年の振り返りではなく、昨年の同じ時期の振り返りです。
今年は昨年からの世の中の変化のスピードはさらに加速し、急激な円安・物価の上昇など、世界の経済・社会の動きがまともに家計を直撃するようになりました。
また株式市場なども、景気減速懸念から下降基調となり、特にそれまで成長一辺倒だったGAFAM(Google, Apple, Facebook, Amazon, Microsoft)と呼ばれる米国IT5社の株価も成長を止めました。
コロナで大きく変化した世界、今はその返し波が押し寄せているような状況です。
また「来年はどのような年になるでしょうか?想定しないことが起こるかも知れませんが、少なくとも今年よりはコロナ感染が収束するか、あるいは恐れるほどでもない日常的な病気の一つ程度になると良いですね」とも書かれていました。
想定しなかったウクライナ戦争も発生し、すわ第3次世界大戦かと、世界の平和が脅かされるようになりました。
新型コロナも以前ほど恐れる事はないものの、収束は見えず、まだまだ警戒しながら生活をしている状態です。
こうして考えると、今後は今のような混沌とした世界がスタンダードになると考えておく方が良いのかも知れませんね。
そんな2022年、今年は日本FP協会「くらしとお金のFP相談室」の相談員を務めました。
ここでは協会のホームページを見て申し込む方が多いので、より幅広い世代、幅広いテーマのご相談に対応することができました。
また協会以外のご相談でも、様々なテーマのお話を伺うことができました。
そうした中で今回は、今年のご相談で特に多いと感じたテーマを、挙げていきたいと思います。
家は購入できる?ローンはどう組んだらよい?
今年は特に、住む家をどうするかというご相談が増えたように思います。
・新たに住宅を購入する場合、または買い替える場合、どの程度の予算まで検討可能?
・住宅を購入することになったが、住宅ローンはどのように組むと良いか?固定か変動か?期間は?
・実家に住むことになったが、今所有するマンションは売却と賃貸とどちらが良いか?
などなど。
やはり長らく続くコロナ禍で在宅が増え、住環境を見直そうという方が多いのでしょうか。
あるいは不動産価格の高騰で所有するマンションが値上がりし、売却のタイミングと考える方もいた様です。
今後見込まれる物価の高騰で、家計の中の住宅費を見直したいという点も、理由の一つかもしれません。
持ち家にしても賃貸にしても、家計の大部分を占める住居費です。
また、いざ購入・売却となると、大きな金額も動きます。昨今の経済情勢の変化も気になるところです。
家に関するご相談の増加は、昨今の経済情勢の変化を象徴しているように思います。
家に関するご相談は、そのご家庭の将来を大きく左右するテーマになります。
不動産市況・金利の状況・住宅ローン控除や譲渡課税など税金の仕組みなど、様々な面から検討して丁寧に説明をして、判断の材料を提供させていただきました。
これからも必要に応じてサポートさせていただきたいと思います。
40代以上で資産運用する人はまだまだ少数派か・・
資産運用に関する点は変わらず多いご相談テーマです。
特に今年は協会の相談員で、普段は少ない20-30代の方のご相談を多く受けることができました。
協会の相談にいらっしゃる方は、比較的家計や金融に関して意識の高い方が多いので、その影響とは思いますが、
20-30代の方でNISAなど資産運用に取り組んでいる割合は、かなり増えているように思います。
実際の統計でも、NISA口座開設している人の割合はこの世代の方が高いようです。
やはり経済成長を経験していない世代だけに、自助努力で何とかしなければという意識が高いのではないでしょうか。
一方で、40代以上の世代では、資産運用に取り組んでいる方はまだ少ないようです。
と言うよりも、取り組んでいる方は、不動産・株式・投資信託など、それぞれのお考えでしっかりと取り組んでいますが、そうでない方はすべて銀行の預金という方も多く、2極分化している印象です。
資産運用の基礎としてNISA口座開設をお勧めしますが、やった方がいいだろうなと思いつつ、まだ実践できてない人も多い様です。
昨年はコロナショックからの持ち直す時期で、株価も上昇傾向でしたが、今年は景気減速が見込まれることもあり、調整局面が続きました。
また急激に進んだ円安も、先々の見通しを不透明にする要因になったかと思います。
しかし、資産運用の王道である長期分散投資であれば、目先の値動きは気にする必要はありません。
むしろ株価など調整局面では、安く買う事ができるので、投資をスタートするのは良い時期と考えます。
来年以降も、特に40代以上の資産運用を始めていない方にも、しっかりお話をしていきたいと思います。
早期退職を考える人が増えている!?
早期退職についてのご相談が増えたのも、今年の特徴の一つでした。
FIREという言葉を聞いたことがあるでしょうか?
「Finance Independence, Retire Early」の略で、株の配当や不動産等から一定の資産収入を確保して経済的自立をし、早期に退職をするという考え方です。20-30代の方を中心に、FIREを視野に、資産運用に積極的に取り組む方が増えています。
FIREのひとつの目標として、まずは年間出費の25倍の投資元本を確保することがあげられます。
例えば、出費を年間240万円とするならば、25倍の6000万円となります。そこから仮に、資産収入の標準的な目安となる年4%程度の資産収入を得られれば、年間240万円の出費分を確保できます。
このような想定も、昨今の物価上昇で見直しが必要ではありますが、完全に仕事をリタイアとまでいかなくとも、低収入でもやりがいがあり、ストレスの少ない仕事に就くという働き方をシミュレーションする機会が増えています。
こうした早期退職のご相談の増加は、より自分らしく暮らすこと、働くことを求める方が増えてきているという事でしょう。
この様なご相談には、ライフプランシミュレーションを作成して、例えば現在の収支状況で50歳まで働けば、あとは年収○○万円まで下げても大丈夫です、といった具体的アドバイスをさせていただいてます。具体的な数値が見えるので、今後の計画も立てやすくなるかと思います。
2023年、FPは更に忙しくなる予感が・・・
コロナ禍を経て、ご自身の家計や資産について見つめ直す方が間違いなく増えてきたように思います。
特に今年に入り、世界も混沌としてきた中、物価上昇の波が押し寄せるなど、世界の動きが身近な生活を直撃することを目の当たりにすることになったからでしょう。
そのような状況の中、来年はFPが更に忙しくなる予感がしています。
まずは2024年からNISA制度が変更となり、年間で運用できる金額が増え、運用期間が恒久化されます。
運用できる総額も大きく上昇し、ますます使い勝手の良い制度になります。
詳細は改めて記事にしたいと思ますが、これを機に資産運用をする機運が高まり、ご相談も増えるように思います。
またつい先日、12月20日の日銀の金融政策決定会合で、長期金利の変動幅の上限が0.5%まで引き上げられました。
これは金融緩和政策が終了するものではないとしています。
一方で、新規借り入れの住宅ローンの固定金利が上昇する動きが出始めています。
特に住宅購入を検討している方には影響の大きいニュースです。
また、急激に進んだ円安も、この発表後に一気に円高方向に戻す展開となりました。
最近は130円台で落ち着いてきましたが、今後の動きも注目されます。
こうした金融政策の変更も、家計に与える影響は少なくありません。
先日タモリさんがテレビ番組の中で、今の時代を「新しい戦前」と表現して注目を集めました。
将来が不透明な混沌とした世の中を、うまく表現した言葉だと思います。
こうした不安の多い世の中で、少しでも安心して暮らしていくためのご相談は、更に増えていくと思います。
もちろん我々にも未来は見えません。それでも日々変わる社会情勢をチェックしながら、様々な可能性を考え、より安心していただけるご提案ができるよう、来年も心がけていきたいと思います。
2022年、今年もお世話になりました。
どうぞ、良い年をお迎えください。
(年末年始は12月31日~1月3日の間お休みいただき、1月4日よりご相談受付を開始します)