「45歳定年制」発言なんて気にしない!自分目線で考えるこれからの仕事プラン

先日経済団体の会合で、大手飲料メーカー社長が、「45歳定年制を敷いて、個人は会社に頼らない仕組みが必要だ」といった趣旨の発言をして、物議を醸しました。

45歳といえば、多くの方が子供の学費や住宅ローンを抱えながら、会社では責任も出てきて、最も苦労も多い世代です。
また、もう少し上の40代後半の世代も、団塊ジュニアと言われ、人数自体も多く、今後の安定した出世や収入増などを見込むのも難しいところです。

これらの世代は、新卒の際に就職難の時期でもあり、就職活動に失敗したまま非正規雇用の人も多くなっています。
会社勤務の人でも、最近はすでに転職経験のある人も多いです。

もちろん、今の日本で、仮に45歳定年制などとなれば経済・社会は大混乱になります。
60代まで働けるというライフプランを前提に考えている人々は不安に陥り、消費活動の低迷、少子化の更なる進行など、様々な問題を生むことになるでしょう。

特に今回の発言は、本来であれば雇用を守るべき大企業の社長が、安易に「定年制」という表現を使用したことが、大きな問題になったように思います。(後日、定年制という表現はまずかったと釈明はしていますが)

 

経営者の本音と捉えた方が良い

しかし、定年制という表現は置いといて、会社の経営者はこれに近いことを考えているということは、認識しておく必要がありそうです。この発言が出たのも、経済団体の会合であった点からも窺えます。

日本は独特の終身雇用の体系で、会社員は、これまで安心して仕事をしてくることができました。
しかし、これから人口比の高い40代後半~50代が増えてくると、相対的に給与の高い世代の社員が増えることになります。
年齢の高い社員は、昨今急激に変化する技術や働き方に対応するのが、どうしても若い人より劣ることが多いです。
48歳の私もPC操作は得意とは言えませんし、オンラインもようやく慣れてきたところです(汗)。

そこに到来したコロナ禍で、会社の業績も不透明な状態になり、またテレワークなど業務効率化を求められる状況になりました。その様な中、それについていけない社員は、どうしても会社にとっては負担となります。
かといって、欧米とは異なり、日本では簡単に社員を解雇することはできません。

このように、会社同士の競争も激しくなる社会の中、優秀な社員で効率よく業務を回す事が急務の課題となりました。
すると、必然的に収入が高くパフォーマンスの低い社員を削減する必要が出てくるわけです。
(なお、年齢の高い世代が全員パフォーマンスが低いということではありません)

 

働く方が仕事に違和感を持つことも

今度は立場を変えて、働く側の方からみたらどうでしょうか?

もちろん、会社という組織の中では、もしかしたら大きな仕事もできますし、社会保障も充実しています。
やりがいをもった仕事に就けて、その会社で活躍できるのであれば、これほど良いことはありません。
このような方は、会社でも高評価を受けて、良い待遇で仕事を継続することができるでしょう。

一方で、その会社にいると制約になること、あるいは人間関係、自分の時間など、犠牲にしているものもないでしょうか?

実は今回の問題、私自身も45歳で以前いた会社を退職したので、非常に興味のある問題でした。
私の場合は、大手の保険会社で営業をしていたのですが、自身の会社の商品だけでお客様を満足させることができないこと、会社が売上至上主義であること、尊敬できる上司がいないこと、などなど、様々な疑問を感じて退職をしました。

退職後しばらくは収入も減り、社会保障も会社員時代の方が優れているなど、苦労する点もありました。
しかし、自分のペースで仕事ができ、コロナによる在宅勤務にもスンナリ入ることができた事など、以前よりストレスなく仕事ができているように思います。

40代も超えてくれば社会経験も増え、また時代とともに世の中も変わります。
今の会社にいることが最善かというと、必ずしもそうとは言えません。

仮に自分の好きな商品が、皆に知らせたいサービスが、あるいは学びたい最先端の技術が、尊敬する人のいる所が、別の会社の事業だとしたらどうでしょう。
周りを見たとき、ほかにも良いものがあるのに、自分の会社のサービスを提供するのは、とてもストレスに感じます。
(まあ仕事だからと割り切ってしまう人もいるでしょうが)

自分のやりたいことも変わるし、会社も変わるものです。今回のコロナ禍のように、大きな環境の変化もあれば、なおさらでしょう。今勤めている会社が、自分がやりたいことができる会社か、という目線で見ると、今回の「45歳定年制」発言も、違った聞こえ方をするかもしれません。

 

そもそも「定年」と考えるのをやめればよい

また、「定年」という考え方をやめるというのも、一つの前向きな考え方だと思います

定年とは、会社ごとに規定された仕事を退職する年齢の事です。
しかし、現在の様な多様化する世の中、生活上の問題が無ければ40歳でも50歳でも、何歳でリタイアとしても良いと思います。
一方で、やりがいがある仕事で元気があれば、70歳でも80歳でも続けるのが良いのではないでしょうか?
これからは、こうした会社に決められた「定年」という考え方を意識しない働き方ができると良いと思います。

退職金が無いと困るという考えもあると思いますが、本当であれば、退職金制度も無くし、その分は普段の給与に上乗せして支給する方が現実的かも知れません。定年制度を無くせば、高齢者になっても仕事を継続する人が増えるという効果も出てくるように思います。

そうすると、直近の問題である高齢化問題も、働く世代の増加により、少しは社会保障などの税負担も減っていくかもしれません。もちろん、このような改革を進めるには、時間をかけて、国を挙げて施策を作る必要がありそうですが・・・

 

いつでも転職できる準備が必要な時代

今回の45歳定年制発言。確かに、企業経営者としては不適切な発言だと思います。
もちろん、これを批判したり意見したりするのは自由です。(不買運動は意味がない気がしますが・・)

しかし一方で、働く側としては、これが今の経営者の考えだと割り切って、したたかに将来に向けて準備する方が、良い効果が出てくるような気がします。

別に45歳で退職しても、その後どこも一切雇ってくれないわけではありません。
それなりの知識やスキル、考え方のマッチする会社があれば、転職して活躍すればいいだけの話です。

仮にそのような考え方の人が増えれば、45歳定年制はおろか、むしろ更に雇用の流動化が進み、40代でも50代でもやりたい仕事が増えるチャンスが増えると思います。40~50代だから転職が厳しい、などという事も減っていくのではないでしょうか。

ただし、それを実践するには、やはりそれなりの準備が必要です。
・今の会社以外でも通用する知識やスキルを身に着ける
・社外の人とも交流をする
・仮に転職をする場合などに備えて、1年程度のブランクがあっても生活できる資金を蓄えておく
などなど。

こうした準備をしておくことで、「45歳定年制、上等じゃないか!」くらい言える状態になると、仕事への取り組み方、会社との関わりなども変わってくるのではないかと思います。

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