相続問題は誰でも身近にある問題です

最近は「相続」に関するご相談が増えてきています。
以前から「相続」「終活」といった話題がメディアでよく取り上げられていました。
そこに新型コロナの問題が発生して、在宅の時間が増えて、自分の身辺整理を考えたいという方が増えてきたのかも知れません。
しかしそれでも、ご自身の周辺で相続が起きたことのない方は、まだまだ自分には関係ない、と思われている方も多い様です。
そういう私も、当初はさほど意識していませんでした。
しかし、数年前に義父と実父が立て続けに亡くなり、相続手続きの経験をしたことで、一気に相続に関する意識が高まりました。
今回は、誰でもいつか必ず関わることになる「相続」の問題についてお話ししたいと思います。

相続問題はお金持ちだけの問題ではない

相続と言うと資産家だけの問題と考える方も多いようですが、そんなことはありません。
それは相続問題=相続税の問題という考えになっているからではないでしょうか?
確かに相続税は、平成27年に基礎控除額(この額までは相続税がかからないという額)が引き下げられました。
それまで相続財産が5000万円+1000万円X法定相続人の人数まで非課税だったものが、現在は3000万円+600万円X法定相続人の人数までとなっています。
例えば、両親と子供二人の家族でお父さんが亡くなった場合、8000万円まで非課税だったものが、4800万円までに引き下げられました。これにより相続税を課税される方が大幅に増えたと言われています。
それでも、こんな大金は我が家には全くないから関係ないという思われる方もいらっしゃいます。
しかし、たとえ数十万円、数百万円の相続財産でも、相続争いは起こります。
平成28年の司法統計によると、相続に関する裁判の内4分の1は、相続財産1000万円以下の金額で争われています
財産の多い少ないが、相続問題の大きさの判断基準ではないのです。

相続の問題は大きく分けて3つ

という事で、相続税だけが相続問題でないという事は、一体他に何が問題になってくるかをまず考える事が大切です。
相続の問題は大きく以下の3点に分けられます。

○遺産分割対策:
相続財産を相続人間でどのように分割するかという対策です。
仲の悪い兄弟であったり、離婚した前の配偶者との間に子供がいたりする場合などは、遺産分割協議がスムーズにいかない場合があります。
相続人が2人以上いる場合は、どこのご家庭でも出てくる問題です。

○相続税対策:

先に記載の基礎控除額を超えて資産を相続する見込みがある場合は、相続税を減らす対策が必要です。
生前贈与をする、生命保険に加入する、更地に建物を建てるなど、様々な対策があります。
いずれの場合も長期的な対策となりますので、専門家と確認の上、慎重な対策が必要です。

○納税資金対策:

相続税は相続が発生してから10か月以内に現金納付が原則です。
不動産や株など物納は認められないケースがほとんどです。
特に会社のオーナーさんで相続財産は持ち株ばかりだとか、不動産オーナーで土地建物はあるが現金がないなどという方は、納税資金として現金を準備しておくことが必要になります。

 

自分の家ではが何が問題になるのかを確認しておく

このように、まず自分の家では相続の何が問題になるのか、という事を考えるのが相続準備の第一歩です。
資産家でなくても、遺産分割対策は法定相続人が2人以上いれば必要になる準備です。
また、現金ばかりであれば分割しやすいですが、不動産が多い場合は分割が難しいです。
もちろん、住んでいる家などは簡単に分割できません。
早い段階でどのように分割するのかを考えて、遺言を書くなどの準備をしておくことが大切でしょう。

かつての様に、長男がその家庭のすべての財産を相続するという「家督相続」の制度であれば、むしろ楽だったかもしれません。
しかし今は民法で法定相続分が定められています。
必ずしもその割合で遺産分割しなければいけないわけではありませんが、兄弟のどちらか一方にすべての財産を相続すると、法定相続分の半分の金額を遺留分として受け取る権利を主張される場合もあります。

自分の家は資産がそんなにないから大丈夫とか、兄弟仲が良いから大丈夫とか、そのような声をよく耳にします。
しかし、相続はある日突然発生することもあります。
その時に、自分の家ではどのようなことが問題になりうるのでしょうか?
法定相続人の状況・保有する資産の状況を確認しながら、早い段階で意識して準備しておくことが大切だと思います。

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