GoToトラベルキャンペーンを利用してみて考えたこと
Go Toトラベルキャンペーン、もう利用したという方も多くなってきていますね。
私はFP業務の他に旅行代理店の仕事もしていますので、旅行に関するお問い合わせも多くなってきました。
一方で私自身も一旅行者として、早速9月と10月にキャンペーンを利用しました。
今回のキャンペーン、上手に活用すれば非常に良い効果を得られる一方、割引だからとむやみに利用すると、こんなはずではなかったという事も起きそうです。
今回は既にキャンペーンを2回利用した経験から感じたことを、利用者目線、FP目線、そして業者目線から、お伝えしたいと思います。
GoToトラベルキャンペーンとは
GoToトラベルキャンペーンとは、新型コロナウイルスの影響で打撃を受けた観光業・旅行業の需要喚起策です。
キャンペーン参加の業者を利用すると、旅行代金の35%(1泊2万円が限度)が国から補助されるという仕組みです。
またこれに加え、10月からは地域共通クーポンの利用もできるようになりました。
こちらは旅行代金の15%分(1泊6000円が限度。1000円未満切り捨て)がクーポンとして提供され、宿泊した都道府県とその隣接県での買い物やサービスに利用できます。
これを合わせると、実質旅行代金の約50%が補助される制度となるわけで、非常にインパクトの大きな制度と言えます。
旅行者目線で考えるGoToトラベルキャンペーン
これだけの割引規模のキャンペーンですから、私を含め、特に旅行好きの人や、夏休みに思いっきり遊べなかったご家族連れなどには歓迎される制度ですね。また、普段旅行に行ってなかった方も、安くなるなら出かけてみようという方もいらっしゃいます。ここ数日は旅行会社のカウンターも混雑しています。今これを書いている喫茶店の隣の席でも、話題になっています。
詳しい利用法などは別にサイトがあるのでここでは割愛させていただきますが、それ以前に、旅行の計画にあたり、いろいろ気を付けたいことがいくつかあります。
○大型連休など人の集中する時期は避ける
9月の連休はキャンペーンがスタートして初めての大型連休という事もあり、感染者も落ち着いていたことから、近場の旅行先を中心に大変な混雑となりました。私が利用した温泉旅館もほぼ満室で、チェックインに時間を要したり、食事のスタート時間が遅れたりと、受入側も混乱している様子でした。
また、感染を避けて車を利用する人が多く、中央道上りでは70km以上の渋滞が出るなど、想像を絶する混雑となりました。
高速道路は例年の週末よりも混雑が激しくなっているようです。
大型連休の利用は避けて、またできれば電車を利用するなど、混雑を避けて計画することは必須です。
○移動も含まれたパック商品を利用する
先ほどの車の混雑の話に続きますが、新幹線など電車を利用する場合は、宿泊と交通がパッケージになっている商品の利用をお勧めします。車の移動は割引の適用がありませんが、鉄道や航空機は宿泊とセットになったパッケージ商品が多く出ています。
このような商品を利用すれば、往復の移動についても旅行代金に含まれ、GoToの割引が適用されます。
都内から軽井沢や伊豆など、近郊の場合でもJRのパッケージ商品が出ています。また、出雲に寝台特急を利用するプランなども人気です。移動交通費分もまとめて割引が適用になるパックプランを検討してみてください。
○利用目的に合った施設を利用する
利用する宿泊施設もしっかり吟味した方がよさそうです。
キャンペーンの割引幅が大きいので、全体的に単価の高い施設が人気のようです。
しかし、普段は子供が利用しないような高級旅館を家族で利用しても、子供向けの施設がなかったり、食事も懐石料理だったりすると、子供は退屈してしまいます。
せっかく時間もお金もかけて旅行に出かけるのだから、ご家族みんなが楽しい方が良いですよね。
しっかり下調べしたり、詳しい人から情報を入手したりして、旅行の目的に合った施設を選択することをお勧めします。
FP目線で考えるGoToトラベルキャンペーン
GoToトラベルキャンペーンは、旅行の大バーゲンセールが行われているようなものです。
デパートのバーゲンセールでは、買う予定のなかったものも、つい安かったからと購入してしまいがちですね。
同じように、安いからといってむやみに旅行に出かけるのも考え物です。
特に旅行に出かけているときなど非日常の時は、つい財布の紐も緩みがちです。
また、地域クーポンを使用できるのは旅行期間限定のため、焦って使おうとして、無駄なものを購入する恐れもあります。
使わなければ損なのかもしれませんが、原資は自分の旅行費用であることを忘れてはいけません。
以前から行きたいところがたくさんあったとか、これを機に遠方の知人を訪ねてみようとか、意味のある旅行であればよいと思います。もちろん、自粛ストレス解消という目的も良いですね。
クーポンも、事前に計画していた訪問地の入場料とかお土産などに使うようにすると良いと思います。
旅行をすることによって、金銭的な負担も発生しますが、数日間掛けて行くことで時間も多く使います。
大幅に安くなるからと言って、衝動買いならぬ、衝動旅行をして、金銭的にも時間的にも無駄にしてしまう事のないようにしたいものです。
業者目線で考えるGoToキャンペーン
コロナで苦しんでいた旅行関連業者・観光業者・宿泊業者にとっては、非常に効果のあるキャンペーンで、一部では対前年比を超えてきたという宿泊業者もあるようです。
しかし、キャンペーン効果は今年前半の反動にすぎません。
旅館などでは、混雑している上に、慣れない精算手続きが発生しています。
これにより、グレードの高い施設も、本来のサービスが提供できないケースも見受けられます。
一方、来訪する客層も大幅な割引が適用されているため、通常より低予算で利用しています。
キャンペーンが終了してからも、今回来てくれた利用客が再度利用するとは限りません。
このように、本来その施設のターゲットではない顧客に翻弄されるケースも出てきます。
その時期にしっかり顧客の心をつかんでリピーターになってもらう、そして従来の顧客にも戻ってきてもらうなど、キャンペーン後の戦略も今の段階で考えておかないと、キャンペーン終了後は宴の後、また元に戻ってしまいそうです。
GoToキャンペーンは需要喚起策
GoToトラベルキャンペーンは、これまで前例のないキャンペーンなので、その是非について様々な意見が出ています。
限られた業者と利用者にしか還元されない制度だという批判もあるようです。
しかし、コロナ対策の制度はこれだけではありません。生活に困窮する方には生活費や家賃を支援する制度があります。アルバイトがなくなり学費や生活費の支払いに困窮する学生への支援策もあります。
このような、世の中には旅行どころではないという人もたくさんいる、という指摘ももっともです。
医療関係者や中小企業の経営者など、厳しい状況の方も多いでしょう。
しかしそのような方々への支援策も整備されています。過度な自粛要請に同調するだけでは経済がいつまでも活性化しません。
GoToキャンペーンは需要喚起策であり、一連の支援策とは別のものと考えるべきでしょう。
利用できる環境にある方が利用することで、一定の経済効果が上がるならば良いのではないでしょうか?
また、制度設計に不備が多いという声も多いです。
確かに、地域共通クーポンの不正利用や、出張での利用、資格取得目的での利用が問題だという事で、徐々にルール整備がされています。
しかしこの点も、多少の制度の不備は運用しながら修正していくという形でも良いと思います。
幸い最近はSNSですぐに問題点が拡散されるので、修正も随時行われているようです。
普段は国の政策実行は時間がかかりますが、今回はスピード重視で実施したという点を評価しても良いように思います。
もちろん、感染拡大に留意しなければいけないのは言うまでもありません。