今週気になった日経新聞記事より(2020.12.20)
日銀 デフレ懸念再び 「効果的な緩和」へ政策点検(12月19日)
日銀は18日の金融政策決定会合で、金融政策の点検に入ると決めた。同日、総務省が発表した11月の物価上昇率は前年比で4カ月連続のマイナスとなり、デフレ懸念が強まる。
11月の消費者物価指数の下落は0.9%と、10年ぶりの下落となりました。2%物価上昇などと数年前に掲げた日銀の目標は、はるか遠い所にいます。
なお、消費者物価指数とは、全国の世帯が購入する、家計に係る財産やサービスの価格等を総合した物価の変動を、時系列的に測定するものです。
新型コロナの影響が出てから、政府は大量の資金を供給しています。その資金の行先は株式市場に向かっている影響で、株価は急ピッチで上昇しています。一方で、間もなく一時停止となりますがGoToトラベルなどの施策により、消費者の支出は抑制されてきました。消費者物価指数が下がるのは当然の流れですね。
本来であれば、景気が良いと物価も株も上がるというイメージではないでしょうか?株価が上昇するのに物価が下落すると言う流れは、通常と逆の状態です。
現在は非常時でもあり、政府の緊急施策の影響でこのようないびつな状態が起きています。その施策の目的も、需要喚起による経済活動の活性化のはずです。ところが、感染の再拡大で再び消費は縮小傾向にあり、せっかくの施策も結果が出ない状態が長引きそうです。こうした不自然な状態が続けばひずみがたまり、いつかこれがバブルとして弾ける可能性も考えられます。
年末年始の活動でコロナの感染拡大がどう展開するか予想もつきません。しかし、一つ言えることは、感染拡大が続けば消費活動は抑制されることが予想されますし、感染が縮小傾向になればGoTo施策などで消費者物価指数が低くなる政策が再開します。いずれにしても消費に関する指標が上昇しない状態は当面続くことが予想されます。
その流れはいずれ企業業績にも反映されることになり、現在の様な株価上昇を見込むのは難しいと考えるのが自然です。
多くの資産が投入された株価が下落傾向になれば、経済全体の長期的停滞を招くことも考えられます。
このように、現在起きていることは事例がなく、経験したことのない状況です。経験豊富な投資家の方も、先を読むことが非常に難しい状況ではないでしょうか?
今回の政策点検の結果は次回3月の決定会合の際に公表されるとのことですが、この間も新型コロナ感染の状況、それに対する政府の実施する施策、そしてそれに連動する消費者の動向や株価の値動きなど、目を離せない状況が続きそうです。
確定拠出年金、給付型を逆転。
年70万人増、加入1000万人迫る(12月20日)
個人が自ら運用先を選ぶ確定拠出年金の加入者数が、企業が将来の給付額を約束する確定給付年金の加入者数を逆転したもようだ。確定拠出年金の加入者数は1000万人に迫っている。老後を見据えた年金づくりは「会社任せ」から、個人が自らの責任で運用する時代に本格的に移る。
確定拠出年年金は、拠出された将来の年金資金を、自ら運用していく制度です。企業から退職金原資として拠出される資金を運用するものが企業型、個人が拠出する資金を運用するものが個人型となっています。
この制度に加入する人が増加を続けて1000万人に迫るということですが、全ての勤労者数と比較するとまだ2割程度にとどまります。企業が給付額を約束する確定給付年金の加入者を上回ったとのことですが、まだまだ加入者数は少ないような気がします。
また、確定拠出年金に加入していても、運用商品は元本保証型が半分以上を占めるという事で、まだまだ運用をするという考え方自体が浸透していないという実態がわかります。
確定拠出年金は多くの方が参加する制度なので、一般的に運用商品も手数料の低いインデックスファンドなど、リスクの低い商品に限られます。
資産運用の王道は「長期」「積立」「分散」ですが、これを実行するのに最も適した制度が確定拠出年金です。
資金を引き出せるのは特別な場合を除いて60歳以降になりますので、資金の使途は老後資金に限られますが、拠出金は非課税である点、また将来受け取る金額にも課税されないなど、税制面でのメリットも多い制度です。
せっかく整備された制度なので、これをさらに活用して、社員への情報提供や手続きのサポート体制を充実させ、多くの方が資産運用する習慣を持てるような体制づくりが必要だと思います。
私自身も相談者の方とお話をすると、確定拠出年金を利用して積極的に運用している人は少ないような気がします。
多くの方に興味を持っていただき、積極的に参加いただけるよう、これからもお話を続けていきたいと思います。
関越道 最大2100台立ち往生 相次ぐ雪害まひ 教訓生かせず
週末再び大雪警戒(12月19日)
日本海側を中心とする大雪の影響で、新潟県の関越自動車道で発生した車の立ち往生は丸2日が経過した18日午後も続いた。過去の雪害を教訓に国は対策を進めてきたが、今回も一時、最大で約2100台が巻き込まれ、市民生活にも影響が出た。
例年大雪が降ると道路の立ち往生が生じていますが、今年も早速起きてしまいました。
それにしても毎年立ち往生は起きています。一般国道ならまだしも、通行止めの処置の取りやすい高速道路でも発生してしまうのは、対策の取り様はなかったものでしょうか?
最近は豪雨災害が多く、川の氾濫や土砂崩れで大きな被害が出ています。地球温暖化で気候が亜熱帯に近くなり、降雨も短時間で記録的な降水が起きるようになりました。これに対し特別警報を発令したり避難指示を発出したりします。
一方で、雪に関してはこうした避難に関する指示が少ない気がします。大雨の「記録的短時間大雨情報」に対し、降雪に関しては「顕著な大雪に関する気象情報」というものがあるそうですが、あまり聞いたことがありません。顕著という言葉も切迫感が物足りない気がします。
雪の降り方も変わってきているのかもしれません。今回はまだ冬に入ったばかりで、水温の高い日本海の水蒸気を多く含んだ雪で、積もりやすかったという情報もあります。降雪量だけでは被害が予想しにくく、雪質や降雪時間にもよるとは思いますが、一歩間違えれば命にかかわることは言うまでもありません。情報発出の基準や方法を見直すなど、もう少し事前に被害を食い止める体制が整うと良いのではないかと思います。
また、今回の立ち往生を招いた原因は雪道対策をしていない大型トラックだったという事です。まだ12月という事で油断をしていたのかもしれませんが、これだけ情報やSNSが発達した時代なので、様々なところから情報入手をして安全に通行する準備を怠らないことは大切でしょう。
また、今回は通勤で高速を1区間移動だけ利用する予定だった人も巻き込まれたという事です。最近は異常気象や地震などの災害は私たちにいつ牙をむくかわかりません。私たち自身も、普段から燃料は早めに入れる、一定の食糧や飲料水・緊急トイレなどを準備しておくと良いですね。
一方、先週は電気自動車普及に向けての目標設定がされましたが、こうした時に電気自動車は役に立つのでしょうか?バッテリーが上がってしまえば全く役に立たない上に、重量もあり扱いにくい路上の邪魔者になってしまいそうです。
大雪・極寒のほか、猛暑や冠水など、災害の多い日本で普及させるには、これらに耐えうる装備が必須になりそうです。
・・・などと、今回の立ち往生の件ではいろいろな事を考えました。どれだけ技術が進歩しても、自然の驚異にはかないません。常に日頃からの準備を怠らないという事は、これからも変わらないでしょう。